citrussinのチラシの裏

ゲームや読書感想、日々のことを適当につづる日記。TwitterID @sinensis197

今期アニメ、切ないガールズラブ、仲谷鳰 「やがて君になる」。原作すっごい面白いし今佳境なんで、アニメに合わせて再度おすすめ。

本日10月5日は、「やがて君になる」のアニメ放送日です。
(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ

やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT)

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yagakimi.com

いやぁめでたいなぁ。

=>前にやがて君になるをおすすめした記事
www.citrussin.com




アニメは多分、原作最初の山場である文化祭の生徒会劇編までやりますよね?
あそこが一番キリいいし、1巻から貼ってきた布石が昇華されるし。
原作も単行本6巻で文化祭終わりまで読めますし。
まぁ実は6巻は起承転結で言えば転の部分で、そっからが佳境なわけですが。
7巻はよ発売してほしい。

ということで、おそらくアニメでやるであろう「生徒会劇」編を記事にしておこうと思います。
アニメの前に原作でもいいし、アニメ気に入ったから原作でもいいんで、ぜひ漫画のほうも読んでほしい良作です。


注意

えーあえて前回は書きませんでしたが、アニメ化もしましたので。
共学なので「男子が出ます」
結構本筋にも出てきますし、そもそも生徒会も「5人中2人は男子です」。
まぁ、メインの関係はほぼ女性で固定されているんですが(こよみちゃんのアレも女性だとは思わなかった)。
ただ、例えば侑の友達の一人は男女間で恋愛ストーリー繰り広げたりもしてますし、侑と燈子の関係に気がついている男子も出てきます。

基本的には女の子の恋愛、複雑な人間模様を中心に描いていますが、
「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」って百合過激派、きらら原理主義者の方々は注意しましょう。

生徒会劇までのあらすじ

先に前回=>
www.citrussin.com

 
私は、誰になればいい・・・・?
 

恋とは誰かを特別に思うということであり、恋愛とは誰かの特別になるということ。
”誰かの特別”がわからない少女「小糸侑」
”誰かの特別”になりたくない少女「七海燈子」
"橙子の特別"になりたくて、でも彼女のために彼女を支えることを選んだ少女「佐伯沙弥香」
「侑、あなたが好き。だからお願い。私を好きにならないで」
いびつな三角関係は、いびつなままで今年の生徒会が発足した。

生徒会で、燈子は「今年の文化祭で生徒会劇を復活させる」と宣言する。
それは7年前、かつて燈子の姉が実施しようとして、そして彼女の事故死によって取りやめになった出し物だ。
「私は、お姉ちゃんの代わりにならないといけないの」
「死んだ姉の代わりになる」ことを目指す七海燈子にとって念願である生徒会劇。
燈子の提案を受けて、侑は作家志望の友人・叶こよみに脚本の執筆を依頼する。
そして、出来あがった脚本は今の橙子たちを映し出すようなストーリーであった。

OBの訪問により明かされる「橙子が知らなかった姉の姿」。
揺らぎ始める彼女の追い求め続けた「理想」。
脚本の結末にすがりつく燈子をみて、侑はこよみに打診する。
「結末を変えよう。先輩のために」
ーーーそして、少女たちのすべてを巻き込んだ生徒会劇の幕が開く。


どうしても決まらなかった劇のタイトルを、結末の改訂とともに侑がつけるんですよ。
それがこの作品のタイトルと、侑から橙子への思いが一心に表されたタイトルでして。
新規脚本が机に置かれた時に思わず心が震えました。
そうか、そうくるか。
そういうことを伝えたかったのか。
「やがて君になる」の「君」の意味が少し変わって見え、切ないストーリーが、もどかしいまでの「関係性」が胸を打ちました。
「劇に関係者の思いをのせて、各キャラクターの分水嶺にする」っていうのはやっぱ王道ながら良い展開ですね。
有名所でいうと、彼氏彼女の事情の「鋼の雪」とかですかね。あれもいい劇だった。

  • 彼氏彼女の事情は名作ボーイ・ミーツ・ガール。みんな読もうな!「鋼の雪」エピソードは9巻です。

彼氏彼女の事情 1 (花とゆめコミックス)

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「劇の結末を変えなければ行けない理由」も良かったですよね。
彼女は成長しないといけない。
そしてそれは「XXX」なのだから。
非常に腑に落ちる理由付けだったと思います。
それがなぁ、劇中ヒロインだけでなくて侑と燈子の関係にもかかってるのが素晴らしいんだよなぁ。
二重入れ子構造とも言える、どちらもどちらもの関係性を指している構成力に脱帽しました。




感情の変遷と描写がとても丁寧なラブストーリー

キャラの表情や関係性の変遷がとても丁寧。
侑の思いと、燈子の願い、沙弥香の焦燥が、生徒会劇という舞台に向けてぐちゃぐちゃになりながらも進んでいくのがすごく良かったです。
なんだろうなぁ、表情の描き方がいいんですよね。
一人一人の「圧し殺したような顔」とか「救いを求めているような笑顔」とか。
前回の感想でも書きましたが
「人が人を思いやるとは、恋とは、こんなにも苦しいものなのか」
と。
そしてそれでも求めてしまうほど素敵なものなんだと。
丁寧な構成力に付随する、微に入り細を穿った表現力に圧倒されてしまいました。


特に4,5,6巻の生徒会劇終焉までのスピード感が凄まじい。
悩み、うつむき、葛藤し、それでも前を向き、後悔しながらも未知の何かに手を伸ばしていく彼女たちの成長がすごく尊くて。
キャラクターたちの「どうしようもないほどの葛藤」が、表情やセリフを通して痛いほど伝わってきて、もうなんか居ても立ってもいられない感じがしてました。
心理描写や情景描写の一つ一つが、侑の、燈子の、沙弥香の、言葉には出来ない祈りを表現していて。
「思いを伝え合う事のできる大切な人」
「大切だからこそ思いを伝えられない自分」
「変わることの怖さ、変わることの尊さ」
そして、それらの関係を内包した作中劇。
いやぁ、ほんとに面白かった。

例えば、小糸侑。
非常にかっこいい、そして弱さと強さが入り混じった、さすが主人公というべき少女でした。
大切な先輩を思いながらも、徐々に橙子が特別になっていく侑。
楽しそうでも寂しそうで、伝えたいのにそれが伝えられなくて。
橙子の「本当の幸せ」のために、前に前に進んでいく。
自分の心の揺れの正体に気が付かないまま、真摯に橙子のことを心配している彼女の表情変遷がとても素晴らしい。

加えて、劇が終わった時に、彼女自身の”揺れ”に気がついたときのどうしようもない震えに息がつまりました。
「私だけがあなたの特別でいられたのに」
悲痛な、何処までも悲痛な叫び。
読んでいる中で、誰がどう見ても「橙子を導く看護師の役が侑」だったんですよ。
間違いなく、彼女自身もそう考えていたし、脚本家もそう思ってた。
でも、すべてが終わった時に明かされる「本当に侑がやるべきだった役はなんなのか」
そこからの怒涛の勢いで転がりだす、小糸侑の物語。
ああ、本当に、はよ七巻でないかなぁ。


総括

アニメももちろん楽しみです。
が、もしよろしければ原作も読んでみてください。
劇で終わりではない。これはむしろ始まりなのです。
この一筋縄ではいかない、めんどくさくて、こじれていて、でもだからこそ願いと祈りに溢れた尊い「恋の物語」をぜひとも読んでほしい。


本日アニメやります。
仲谷鳰 「やがて君になる」

やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT)

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再度のおすすめ記事になりますが、
心を締め付けるような、あふれる感情を抑え切れないような。
とても丁寧な百合ラブストーリーです。

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