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胸が熱くなるようなグッとくる青春群像。高校三年間の青春を描く良作ラブコメディ 相田裕 「1518!イチゴーイチハチ!」がおすすめ

表紙買いした漫画
相田裕 「1518!イチゴーイチハチ!」

1518! イチゴーイチハチ!(1) (ビッグコミックス)

1518! イチゴーイチハチ!(1) (ビッグコミックス)

読み終えました。
すっごい面白かった。
普通の学生生活、普通の生徒会執行部という舞台の中で、学生たちが甘酸っぱい青春を繰り広げる青春コメディ。
ちょっと雑記感想したいと思います。


ところで、読み終えてからふと考えてみると、相田裕先生といえば超有名作「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガーガール)」の人じゃないですか。

GUNSLINGER GIRL(1) (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL(1) (電撃コミックス)

いやぁ、むちゃくちゃ作風変えてきましたね。
どっちも好きです。

あらすじ

何事にも情熱をかたむけることができずにいた私・・・
その私はついに目標を見つけた。
 
この男の子を笑わせてやろうって

松武しょうぶ高生は勝負好き・・・・
私立松栢学院大付属武蔵第一高校、通称:松武高校はお祭り騒ぎ大好きな校風の部活動強豪校。
だがお祭り騒ぎは準備なしには成功できない。
はしゃぐ彼らを誰に知られずとも支える者たちがいた。
松武高校生徒会執行部。
やってることは地道な作業と縁の下の力持ち。先生との折衝や各種雑多な書類整理。
成果は誰にも知られず、派手なことは一切せず。
でも彼らがいるから松武高生は戦える。
そんな学生に全く人気のない生徒会執行部に今年入ったのは、
「やりたいことが見つからない少女」と「やりたかった夢が砕け散った少年」
部活をなんとなくやめてしまった少女と、肘を壊してエースの道を断たれた少年。
15歳から18歳へ。子供から大人への未来に飛び出す一年目が始まった。


「生徒会」という実はあまり知られていない「学園モノ」をベースに、学生たちの青春を行事とともに彩っていく作品で、月並な、でもそれが尊いようなラブコメディ。
15=>18ということで、些細なことがつまづきに、漠然とした不安を抱え、それでも前に向いて進んでいく多感な高校生たちの青春がすごく面白い。
話の途中で「生徒会はどういう仕事をしていて」とか「どういう会議があって」みたいな説明もついてて。
一風変わった「お仕事もの」としても楽しめました。
また登場人物の多くがカップル(というか友達以上恋人未満)なコンビになっているボーイ・ミーツ・ガール群像劇でもあります。

いろんな高校生たちが学校行事や委員会仕事、夏や冬のイベントなどを経験して未来に進んでいく。
非常に丁寧に心の成長が描かれていて、特に4巻で一旦の解決を見る「肘が壊れてしまった元野球少年」
挫折と絶望を迎えて未練を引きずり「もうなにものこってない」と思っていても、次の日はやっぱり同じように来るんだなぁと。
そんな中で挫折を乗り越え、「俺にはまだいろいろなものがあるんだ」と思い始める。
烏谷の家族とのやり取りは涙腺に来ました(´;ω;`)。
マウンドじゃなくて応援席にいる鳥谷の姿を見て両親が感極まるんですよ。
よく立ち上がったねって。高校生まだまだこれからだぞって。
キャラクターの成長物として非常に丁寧に作られていて、全員を応援したくなる。

地味な仕事があるからこその達成感

一巻「アイス大作戦」の展開読んで「あ、コレ面白いやつや」と思いました。
めちゃくちゃ地味なんですよ。
漫画でよく見る「大権力を持った生徒会」とか「超人たちの集団」みたいな話じゃなくて。
ひたすら「生徒会が行う業務を頑張る」っていう内容で。
過去の事例を確認し、説得材料をそろえ、生徒たちのできる範囲で先生を如何に説得するかを考え。
様々なイベントや舞台がつつがなく取り計らわれるように手配し。
それで最後は「お祭り騒ぎ」を楽しんでもらう。
お祭りが終わった後、生徒たちが覚えているのは「表舞台で活動している実行委員会」の姿で、生徒会執行部のやったことは殆ど知られていない。
でも、そんな地味な裏仕事の中にも発見や進展があったりして、ひたすら地味だけど達成感を一緒に味わえるような。
何気ない、本当に何気ない毎日の中でみんなを巻き込む騒動の前準備を行う。
「高校物で楽しいのは、輝かしい側面だけじゃないんだぞ」っていうことが伝わってくる。
事務作業の多い普通の生徒会の、その楽しさ、達成感。
部活ものとお仕事ものを掛け合わせたかのような作品でした。

甘酸っぱい青春のひととき

ほとんどの登場人物がボーイ・ミーツ・ガール的青春に励んでます。
なんかほんとニヤニヤしてしまう。
一年生の三角関係、二年生特進のじれったい二人、そして三年生のアレコレ。
青春の、もう二度と戻ることがないあの頃の、なんだかムズムズしてしまいそうなやり取りがすごく面白かった。

非常にほのぼのとしつつ、甘酸っぱいなぁ青春群像が描かれていて。
等身大の高校生たちが、日々を精一杯、みんながみんな一生懸命高校生活を過ごしてるんですよ。
様々な学校行事の中で混ざり合う人間模様や感情変遷の丁寧さがすごく良かったです。

ちょいネタが古いところも含め、多分これは「現在の高校生に向けて」よりも「かつて高校生だった大人へ」捧げる青春劇なのかなと。
おっちゃんのノスタルジーと琴線に触れまくりました(´;ω;`)
ここまで丁寧な青春ものって、本当に久々に読んだかもしれない。

総括

甘酸っぱい青春ものを読みたければぜひ。
また、「輝かしい学生生活のノスタルジー」を感じたい方にもおすすめ。
準備や折衝の様子がうまく書かれていて真っ当な「生徒会もの」としても楽しめます。

すごく読後感がよく、「心が温かくなる」というか、みんなを応援できる雰囲気がとても素敵な作品でした。
相田裕 「1518!イチゴーイチハチ!」

1518! イチゴーイチハチ!(1) (ビッグコミックス)

1518! イチゴーイチハチ!(1) (ビッグコミックス)

すごく面白かったです。


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