citrussinのチラシの裏

ゲームや読書感想、日々のことを適当につづる日記。TwitterID @sinensis197

王道の本格ミステリ。探偵と語り部の関係性がとても素敵な「有栖川有栖シリーズ」がおすすめ。

24作(総集編除く)続く、有栖川有栖先生の大人気ミステリ「作家アリスシリーズ」。
作家アリスと学生アリスの両方合わせると29作(総集編除く)という大作であり、未だ続く長大シリーズである。

それで、ですね。
大学生の時期に学生アリスシリーズの方は読破してたんですよ。
そうなると、有栖の相方っていうのは(その時の私にとっては)火村ではなく断然江神と英都大学推理小説研究会の面々なわけです。
作家アリスの方にはマリアちゃんみたいな紅一点もいなさそうですし・・・・
とかで、なんとなく作家シリーズの方は積んでました。
で、その後ちょうど仕事をやめざるを得なくなった時期に、作家アリスシリーズを読み始めました。
言うまでもなく、あの時期は本に逃避したい色々が色々だったので。

で、その後もちょっとづつですが作家シリーズを読み進めまして。
途中何度か別の作品に浮気しつつ、ゆっくりと隔年で消化していきまして。
この間、最新作「狩人の悪夢」を持って全作品を読み終わることとなりました。
いやぁ、面白かった。
火村と有栖のコンビ最高ですね!
当然推理小説研究会のみんなも大好きですが、火村も大好きになりました。


ということで、シリーズ感想・・・というかおすすめですよって記事です。

  • 作家シリーズ一作目

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)

  • 学生シリーズ一作目

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)


注意点

この有栖川有栖シリーズは、1巻2巻という表題にはなっていないので、順々に読みたい方は注意。
それでいて過去の登場人物が再登場したりするからなぁ(´・ω・`)。
Wikipediaかなんかで調べて発行順に読んだほうがいいと思います。

そこだけは注意。
有栖川有栖 - Wikipedia


追記:
やっぱ、一応発行順で作品巻数並べますね

作家アリス発行順(総集編除く)

作家有栖シリーズ第01巻 46番目の密室(新装版)
作家有栖シリーズ第02巻 ダリの繭
作家有栖シリーズ第03巻 国名シリーズ01 ロシア紅茶の謎
作家有栖シリーズ第04巻 海のある奈良に死す
作家有栖シリーズ第05巻 国名シリーズ02 スウェーデン館の謎
作家有栖シリーズ第06巻 国名シリーズ03 ブラジル蝶の謎
作家有栖シリーズ第07巻 国名シリーズ04 英国庭園の謎
作家有栖シリーズ第08巻 朱色の研究
作家有栖シリーズ第09巻 国名シリーズ05 ペルシャ猫の謎
作家有栖シリーズ第10巻 暗い宿
作家有栖シリーズ第11巻 絶叫城殺人事件
作家有栖シリーズ第12巻 国名シリーズ06 マレー鉄道の謎
作家有栖シリーズ第13巻 国名シリーズ07 スイス時計の謎
作家有栖シリーズ第14巻 白い兎が逃げる
作家有栖シリーズ第15巻 国名シリーズ08 モロッコ水晶の謎
作家有栖シリーズ第16巻 乱鴉の島
作家有栖シリーズ第17巻 妃は船を沈める
作家有栖シリーズ第18巻 火村英生に捧げる犯罪
作家有栖シリーズ第19巻 長い廊下がある家
作家有栖シリーズ第20巻 高原のフーダニット
作家有栖シリーズ第21巻 菩提樹荘の殺人
作家有栖シリーズ第22巻 怪しい店
作家有栖シリーズ第23巻 鍵の掛かった男
作家有栖シリーズ第24巻 狩人の悪夢

学生アリス発行順

学生有栖シリーズ 第01巻 月光ゲーム Yの悲劇'88
学生有栖シリーズ 第02巻 孤島パズル
学生有栖シリーズ 第03巻 双頭の悪魔
学生有栖シリーズ 第04巻 女王国の城
学生有栖シリーズ 第05巻 江神二郎の洞察

有栖川有栖というワトソンと、魅力的なホームズ。

名を持ってそのとおり、

  • 「作家アリスシリーズ」
    • 推理作家「有栖川有栖」が英都大学社会学部の准教授にして腐れ縁の親友「火村 英生」と共に様々な事件を解決する探偵物ミステリ。
  • 「学生アリスシリーズ」
    • 英都大学推理研究部にいる推理作家志望の大学生「有栖川有栖」が、同研究会の頭脳明晰な先輩「江神二郎」や研究会の仲間たちと様々なクローズド・サークルな事件に遭遇するミステリ。

です。


ちなみに、両シリーズの有栖は同一人物ではなく、
「学生アリスシリーズ」は作家の有栖川有栖が執筆した作品であり、「作家アリスシリーズ」は学生の有栖川有栖が執筆している(または構想を温めている)作品。
という相関パラレルワールドになっている。

有栖川有栖先生はエラリー・クイーンのような本格ミステリをメインに描く作家でして、自身の分身たる登場人物「有栖川有栖」も「エラリー・クイーンのようなーーー」という言葉を端々で口にします。
細やかなロジック、順当に積み上げて解き明かせば犯人がわかる正統派なミステリ、様々なテーマや舞台によって描かれる(一見は)不可思議だが現実に有り得そうな犯罪。
種明かしが「ああ、なるほど。そうだったのか」と腑に落ちる謎解きが楽しい作品というのかな。
奇想天外なトリック主体ではなく、探偵と事件を中心とした一種の推理ドラマを描く作品が多い気がします。

そして、このアリスシリーズは角川ビーンズ(少女向けのライトノベル)にてキャラ絵をつけて再発刊されるぐらいには、女性ファンも多い。
というのも、やっぱ有栖川有栖の見どころとして、探偵たる火村or江神がすごく(男から見ても)格好いいキャラクターなのが大きい。
さらに彼らと気のおけない遣り取りをする助手(有栖川有栖)のコンビ関係がすごく素敵だからだと思います。
学生有栖シリーズは、江神二郎ももちろん、研究会のメンバーとの関係もすごくいい。
「主人公たちの関係性とキャラクター」に好感が持てるので、長大なシリーズの長さも苦にならなかった。



初心者にも勧めやすい読みやすさ

んー、表現しづらいんですが。
あえて言えば「読みやすい」んです。
テンポが良くて、無理のない展開で、難しい話をつらつらと説明することもない。
ちゃんと理論的に構成されたストーリーテーリングで、有栖の親しみやすさも合わせて読んでいるとどんどん引き込まれてしまいます。
だから29作もずっと読み続けられるんですよ。
まぁ流石に29作も続けてると「傑作」も「イマイチな話」もあるんですけど、それでもどんどん読んでいっちゃう魅力があるんですよね。

忌憚なき相棒との推理劇

アリスシリーズでのイチオシは、なんと言っても相棒感。
作家アリスシリーズでのワトソン役である「有栖川有栖」とホームズ役である「火村英生」の間にある独特の信頼関係はすごく魅力ですし、何が起きても結束して立ち向かう学生アリスの研究会メンバーはとても頼りになります。
ホームズワトソンコンビが織りなす掛け合いや、その他周りの人たちとの関係性がとてもいい。

作家アリスでいうと、火村とアリスの仲って、言葉に出来ない信頼に満ち溢れてるんよね。
必要なかったら長期間合わないし、合えばあったで阿吽の呼吸で色々遠慮なく意見をぶつけ合える。
寄りかからない関係。でも、言葉の端々からお互いがお互いを必要としているとわかる関係。
なんというか、これこそ「相棒」って感じがして、事件ごとに行われる二人の気負わないやり取りが面白い。

有栖は推理を外しまくって一見邪魔しているようにも見えるんだけど、火村は意外と有栖を頼りまくってんですよね。
どう考えても火村は絶対無的な主人公なんですが、彼には彼の脆さがあって、それを有栖が無意識にカバーしている。
「実はお互いにお互いを頼りにしていて、二人三脚で事件解決を目指す」という二人の関係描写が非常にうまい。


そもそも有栖の推理も、(どの巻だったか)警察の人が
「有栖川先生がこれまでの事件で話した推測が全て外れている。これは実はすごいことなのでは?」
と言ってますが、火村に言わせれば
「お前の妄言は、俺が行くべきでない”ハズレ”の道を予め潰してくれるんだ」
となるわけですしね。
凄惨な現場や犯人との対決に対して、精神的に二人は支え合っていると言える。


特に最新巻「狩人の悪夢」にて、

ことに及ぼうとしたとき、よう耳を澄ませ。
お前の悪夢の中で梟がなく。
(中略)
続いて俺の声や
「火村ぁ!煙草一本くれ!」

このセリフ。
すごく良かった。
狩人の悪夢で最も心に迫ったシーン。
有栖の力強い声が、本当に聞こえた気がしました。

この二人の関係をして、有栖川有栖シリーズを「キャラ萌え系ミステリ」と打ち出すファンも居るぐらい。
そしてその気持は非常に良くわかります。
二人の関係性が間違いなく尊い。



総括

様々なテーマや舞台で繰り広げられる、軽妙なトークや文章、そして魅力的なキャラクターが織りなす有栖川有栖ワールド。
その読みやすい文章や、理解しやすい展開構成はミステリ初心者にも入っていきやすいと思います。
読み終わった後、妙に有栖川有栖先生が身近に感じられて・・・・ていうか何年も付き合いのある友人のように錯覚しそうになりました。
本当に親近感が湧く。

探偵と語り部が魅力的な王道ミステリを読みたいならぜひ。
有栖川有栖シリーズおすすめです。

  • 作家シリーズ一作目

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)

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  • 学生シリーズ一作目

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

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