citrussinのチラシの裏

ゲームや読書感想、日々のことを適当につづる日記。TwitterID @sinensis197

剣崎比留子が帰ってきた! 奇怪な予言に翻弄されるサスペンスミステリ。今村昌弘 「魔眼の匣の殺人」感想

剣崎比留子にまた会える!

第二十七回鮎川哲也賞受賞作。奇想と本道が融和するミステリ「屍人荘の殺人」。
あの傑作がめでたくシリーズ化となり、待望の二作目が発売されました。

  • 一作目、「屍人荘の殺人」感想

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殺人シリーズ第二巻
今村昌弘 「魔眼の匣の殺人」

魔眼の匣の殺人

魔眼の匣の殺人


エンターテイメント性をそのままに、シリーズとして主人公二人の関係性や物語の骨子が整えられた。
珠玉のサスペンスミステリでした。
丁寧な伏線、筋の通った布石の数々。
読みやすい文体と、息をつかせぬ展開の面白さ。
そして相変わらず、舞台設定が秀逸。


ということで、雑文感想。

注1:続きものです。ぜひとも前作「屍人荘の殺人」から読んでください。
注2:極力ぼかして書きますが、どうしても前作「屍人荘の殺人」のネタバレが少々入ります。

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ホラー苦手な人にもおすすめ。青春ラブコメ✕ライトホラーの良作ライトノベル、櫛木理宇「ホーンテッド・キャンパス」。

ホラーっていうのは一大ジャンルだけあって、様々なジャンルやテイストにマッチするんですが、怖いの苦手な人間には少々難しいジャンルでもあります。
かく言う私もその一人。
怖いのを読むと夜眠れなくなることもしばしば。

ですが、ホラーってなんか人を引きつけるものがありますよね。
「見るなのタブー」っていうんですか?
特にミステリやサスペンスとはよく合います。
そして、私はエンタメミステリが大好き。


ということで、ホラーもエッセンスとして存在するけどそれが主題じゃなくて・・・っていう作品はよく読むんですよ。
前に感想記事を書いた怪奇ノベル「レイジングループ」もそのうちの一つ。
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んで、そんな怖くないホラーのですね、常に新刊買いをしている作品がありまして。
記事をいつか書こう書こうとしつつも、この魅力を伝えきれる気がせずに頓挫していた作品。
そろそろ記事だけでも作っておきましょう。

青春ホラーミステリ。
櫛木理宇「ホーンテッド・キャンパス」

ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)

ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)

ホラーが主題ではなく、それに惹かれた人間の心模様やライトノベルらしきラブコメが主題の良作です。

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泥棒と弁護士が暴く多様な密室ミステリー。貴志祐介の「防犯探偵・榎本シリーズ」 感想。

前々から気になってた貴志祐介の「防犯探偵・榎本シリーズ」

  • 第一巻

硝子のハンマー (角川文庫)

硝子のハンマー (角川文庫)

  • 最新巻

ミステリークロック

ミステリークロック

凄腕の泥棒が探偵となり、弁護士のヒロイン(?)とともに様々な密室に挑む、密室にこだわった傑作ミステリーです。
「鍵のかかった部屋」というタイトルでフジテレビの月9がドラマ化(大野智、戸田恵梨香主演)してたそうで、小説知らないけどドラマは見たって人も多いのでは?
私は見てないですが、見た人から聞く限り評判は良かったそうです。

鍵のかかった部屋 DVD-BOX

鍵のかかった部屋 DVD-BOX


泥棒が「推理で密室をこじ開けていく」ってのが痛快で面白いですね。
様々な防犯システムや知識も出て来るらしく、読もう読もうと思いながら今まで読んでませんでした。
ほら、貴志先生ってホラー畑というか、「黒い家」や「悪の教典」みたいなスリリングサスペンスが得意な印象があって。
まぁ「新世界より」がアニメ化したので、SF方面が馴染み深い人もいるかもですが。

ですが、防犯探偵シリーズはコメディチックなテイストのミステリ作品と聞きまして、現在出版されている4冊を一気に全巻読みました。

ということで雑文感想。


注:この記事は「防犯探偵・榎本シリーズ 」の致命的でない軽いネタバレを含みます

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王道の本格ミステリ。探偵と語り部の関係性がとても素敵な「有栖川有栖シリーズ」がおすすめ。

24作(総集編除く)続く、有栖川有栖先生の大人気ミステリ「作家アリスシリーズ」。
作家アリスと学生アリスの両方合わせると29作(総集編除く)という大作であり、未だ続く長大シリーズである。

それで、ですね。
大学生の時期に学生アリスシリーズの方は読破してたんですよ。
そうなると、有栖の相方っていうのは(その時の私にとっては)火村ではなく断然江神と英都大学推理小説研究会の面々なわけです。
作家アリスの方にはマリアちゃんみたいな紅一点もいなさそうですし・・・・
とかで、なんとなく作家シリーズの方は積んでました。
で、その後ちょうど仕事をやめざるを得なくなった時期に、作家アリスシリーズを読み始めました。
言うまでもなく、あの時期は本に逃避したい色々が色々だったので。

で、その後もちょっとづつですが作家シリーズを読み進めまして。
途中何度か別の作品に浮気しつつ、ゆっくりと隔年で消化していきまして。
この間、最新作「狩人の悪夢」を持って全作品を読み終わることとなりました。
いやぁ、面白かった。
火村と有栖のコンビ最高ですね!
当然推理小説研究会のみんなも大好きですが、火村も大好きになりました。


ということで、シリーズ感想・・・というかおすすめですよって記事です。

  • 作家シリーズ一作目

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)

  • 学生シリーズ一作目

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

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冤罪事件の真相を掴め。複雑に絡み合う人間模様が面白いミステリ小説 深木章子「殺意の構図」。 読み終わったので感想。

さて、前回までで深木先生の作品を2つほど読んできたわけだが
食い違う証言者の告白から真実に到れるか?深木章子「敗者の告白」 読んだので感想。 - citrussinのチラシの裏
離婚調停から始まる二転三転のサスペンスミステリ。深木章子「ミネルバの報復」 読み終わったので感想。 - citrussinのチラシの裏

この人の描く「人間模様」が結構好きなんですよね。
複雑に絡み合ったようでいて実はシンプルで。
人が人に嘘を付く、「思い込みを真実のように語ってしまう」ことを当たり前としていて。
元弁護士だからこその「様々な打算と懐疑に満ちた」嘘と思い込みが描かれている。
ミステリとしても、「心証が良い悪いと真実は関係なく、真実は”実際にあったこと”の積み上げでのみわかる」ことが面白い。
人が語るあやふやな証言のもと、二転三転する事件に振り回され続けるのは存外楽しいものだった。
まぁ、ミステリ部の落ちや構成に強引なとこや粗っぽいところがあり、そこは賛否両論あるだろうけれど。

ということで、カチャカチャと他作品をググったら「殺意の構図」ってのが面白いらしい。
いいじゃんいいじゃん。図書館の棚においてあった覚えがあるわ(゚∀゚)
ってことで、借りてきました。
で、さくっと最後まで読んだ。 
あ~、コレ読んだ3作品の中で一番好きかもしれない。

ということで、手首のモーターをフル稼働させて手のひらを返しまくる”心証”ミステリ
深木章子「殺意の構図」

殺意の構図 探偵の依頼人

殺意の構図 探偵の依頼人

雑記感想。

注:この記事は「殺意の構図 」の致命的でない軽いネタバレを含みます

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離婚調停から始まる二転三転のサスペンスミステリ。深木章子「ミネルバの報復」 読み終わったので感想。

前回深木さんの弁護士ミステリ「敗者の告白」を図書館で借りてきたわけですが
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その時、ついでに横に並んでいた同作者の作品を一緒に借りてきてました。

「不愉快な結果に終わってしまった離婚調停の顛末が、2つの死体によって様変わりすることとなる」
深木章子「ミネルバの報復」

ミネルヴァの報復 (ミステリー・リーグ)

ミネルヴァの報復 (ミステリー・リーグ)


読み終わったので雑記感想。
人間ドラマが面白い半面、ミステリ部分の簡素さが惜しかった。
だが、読んでいるうちは間違いなく振り回された。



注:この記事は「ミネルバの報復」の致命的でない軽いネタバレを含みます

後日、同作者の「殺意の構図」もよみました

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食い違う証言者の告白から真実に到れるか?深木章子「敗者の告白」 読んだので感想。

本屋で物色していると、一冊の本が目に止まった。
「八人の関係者の証言が食い違う」ミステリー
深木章子「敗者の告白」

敗者の告白 (角川文庫)

敗者の告白 (角川文庫)

ほほう。なかなか面白そうではないか(゚∀゚ )


どうやら、証言者たちが次々と「独白」または「インタビュー」みたいな形式で、「彼らから見た事件の模様」を語るという形式のミステリのようで。
こういうので言うと、
藤崎翔「神様の裏の顔」

神様の裏の顔 (角川文庫)

神様の裏の顔 (角川文庫)

とか

宮部みゆき「長い長い殺人」

長い長い殺人 (光文社文庫プレミアム)

長い長い殺人 (光文社文庫プレミアム)


とか
法月倫太郎「頼子のために」

新装版 頼子のために (講談社文庫)

新装版 頼子のために (講談社文庫)

とかを思い出しますね。
どれも傑作ミステリでした。

んで、その場では買わなかったんですが。
文庫本の新作なのかと思ったら昔にハードカバー版が出ていたらしく。
帰りに寄った図書館で偶然棚に並んでましたから、そのまま借りました。
金のない身に図書館はありがたいやね。

感想

注:この記事は「敗者の告白」の致命的でない軽いネタバレを含みます


後日:同作者の別作品も読みました

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