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読書感想文用の小説にこんなのはいかがでしょう。短編集編

前回読書感想文書き方講座で最後に書いたとおり読書感想文におすすめ一作でも上げて行きましょう
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ドラマやアニメや映画、そして漫画は問題ないのに、小説を読むのが苦手という人は多いらしい。
想像するに、これには3つの原因があるのではないだろうかと考えている。
つまり、

  • 長文を読解するのが疲れる。長時間文字を読みたくない。
  • 登場人物が文字のみで把握しづらい。関係性もわかり辛い。
  • 見て把握することに慣れており、文字だけでは現在の状況を想像しづらい。

という点だ。
なるほど並べてみるとわかる気がする。
私は海外ドラマは好きだが、洋物の翻訳書はどうも苦手な小説が多い。
なぜって人の名前が覚えづらい上に、出てくる言葉になじみがなくて状況が分からない。
長文は慣れているが、残り2つがそろうだけでかなりきつくなる。
その点ドラマや漫画はいい。見てわかる、聞いてわかる。
この違いは大きな違いだ。
さてどうした物か。どんな本だったら読んでもらえるだろうか。
考えるに、
1. 長文でない
2. 登場人物が最低限
3. 状況が把握しやすく簡潔である
これを満たせば何とかなるのではないだろうか。
よろしい。
ならば短編集だ。
短編集はいい。長文でないし、短編だから登場人物も内容も簡潔な作品が多い。
さらに一番おすすめなのは、連作でない限り短編の内2~3話だけ読んで全部読んだ風に感想文が書けるということである。
特に気に入ったのは八編目の○○(その話のタイトル名とか展開とか)である。
とか言って書き始めれば問題ない。実はそれしか読んでいなくても十分感想文が書ける。物語が短いからあらすじは極力簡潔に書こう。



ショートショートの神様

星新一という作家をご存じだろうか。
知らない?それはもったいない、図書館なり図書室なりで探してみるといい。
彼は掌編小説、つまりショートショートの神様と呼ばれている作家だ。
400~800文字程度の小話を幾つも書き、さらにその中身は多彩かつ質が高いという神業である。
400文字って原稿用紙1枚くらいですよ!大抵が10ページ以内中には2~3ページほどの話もある。
ちょっとした5分の空き時間(レストランで注文した品が届く間とか)に1~2個するっと読めることを保証しよう。
しかも彼の作品にはほとんど登場人物が出てこない。
長文ではなくすぐ読める、登場人物は最低限、小難しい話はユーモアに包まれてほとんど意識されない。
素晴らしい。
とりあえず中の5つほどを読んでみる気持ちで図書館から借りてみてはどうだろう。
20分もかからないのではないだろうか。それだけでも感想文を書くには十分である。
そして、いつの間にかすべての話を読んでいたということも起こりうる。
おすすめはやはり自選集の「ボッコちゃん」

ボッコちゃん (新潮文庫)

ボッコちゃん (新潮文庫)

50編収録されているが、なんてことはない気が付いたら全て読み終わっているだろう。
SF、ファンタジー、ホラーなどなど非常に多彩な物語が楽しめる。
その中からいくつか琴線に触れた話を取り出して感想を書いてみたらいかがだろうか。

気に入ったならほかの短編集もおすすめする。
例えば「ちぐはぐな部品」が私は好きだ。

ちぐはぐな部品 (角川文庫)

ちぐはぐな部品 (角川文庫)

特に「鬼」は子供心に非常に印象に残った。
桃太郎の話を鬼の視点から再構成したショートショートで物語を多面的にとらえることの面白さがわかる。
SFやミステリ、時代物が多く収録されているため、ファンタジーやホラーよりもそっちよりが好きな人はこちらを先に読んでみてはいかがだろうか。


あっと驚くミステリー

個人的にミステリーは初心者におすすめのジャンルである。
大抵が現実世界に沿っており、犯人と探偵役が主軸であり、読者を驚かすエンタテイメントに満ちている。
人間関係の煩わしさや、感情の機微を読み解かなくていい作品も多い。


さて、このブログでも私の好きなミステリーは色々紹介している。
特に私は米澤さんが好きなので、短編としては「満願」をおしたい。
出てくるのは大人が多いでの小学生にはわかりにくいと思う。高校生向けか?
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もし正統派のミステリ短編というのであれば、福家警部補シリーズなんてのもいいだろう。

福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)

福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)

「はじめに犯人視点で犯行が描かれ」「その後に”描かれなかったこと”も含めて探偵役である警部補が全てを解き明かす」という正統派の倒置ミステリである。
巧妙にトリックを敷いた犯人が、些細なほころびからどんどん追い詰められていく様が素晴らしい。
さらに、「最初に語られなかった部分」を解き明かすために読者も能動的に謎解きを楽しめるという側面もある。
何処から読んでも楽しめるミステリ短編集として、素晴らしく出来が良いので初心者にはぴったりだ。


作者との挑戦!謎解き!っていう方にもし興味があるなら、たとえば綾辻さんの「どんどん橋、落ちた」あたりを推したい。
特に高校生や中学高学年にはお勧めである。登場人物にちょい教育上悪いやつが登場したり、そもそも謎解きとしては捻くれまくっているので、残念ながらあまり小学生にはお勧めしない。

どんどん橋、落ちた (講談社文庫)

どんどん橋、落ちた (講談社文庫)

5編の短編集だが、どれもが読者への挑戦に満ち満ちている。
(というか、反則スレスレ)
驚きをもって最後のページを迎えるか、挑戦に答えて悩みぬくかは読者の好み次第だが、存分に悩んだほうが楽しいと思われる。
謎解きが好きならおすすめできる一作だ。
反則スレスレの様々なトリックを利用した犯人当ては、初心者でも楽しめることだろう。
表題のどんどん橋をはじめとする混乱と後悔。そして驚愕の真犯人。
珠玉の犯人当てゲームを楽しんでもらいたい。
まぁ、このミステリーは「最初から順に読むことが約束事」としてある短編集なので、適当に何章か。。。というのが出来ないのがいただけないが。
そういう意味では、最初の宣言から外れている。
ただ「インパクトが有り」「謎解きの面白さが有り」「短編ならではの登場人物の少なさが有り」そして、「小粋な引掛け」があるという楽しさ満点の作品なので、よければ最初から最後まで順に読んで欲しい。
まぁ、最後がちょい後味悪いけど。
ちなみに短編でなく中編でいいならば、綾辻先生の「十角館の殺人」は非常におすすめ。
解答編へと行く前のとある一言で脳髄が焼かれるほどの衝撃を味わうことになる。
十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)


海外の作品なので、あんまり読みなれていなければお勧めしづらいが、それでも初心者向け短編ミステリならば上げとかなくてはならないだろう。
ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

その場から動かずに推理を行う安楽椅子探偵がメインの全8編傑作短編集である。
表題の九マイルは遠すぎるは安楽椅子探偵ものの魅力を存分に引き出した一作で、続きが気になること請け合い。
話自体は短い上に、メイン登場人物も少ないので長文に慣れていない人でもどうにか読み切れるのではないだろうか。
「九マイルは遠すぎる、まして雨の中ともあれば」からどんな事実が判明するのか、その結末を一気に読み切ってみることをおすすめする。

ライトノベルの傑作短編

短編でライトノベルを上げるならば最初に出てくるのは、
時雨沢恵一の「キノの旅 -the Beautiful World-」である。

キノの旅 the Beautiful World (電撃文庫)

キノの旅 the Beautiful World (電撃文庫)

色々な法律や習慣、考え方や文化を持つ国々をキノと相棒ヘルメスがめぐる物語である。
基本的には1国一話の完結で、1話1話は短いためすぐに読める。
メインはキノとヘルメスなので、この二人を覚えておけばいいのも助かる。
内容も非常に読書感想文向けで、色々な考え方や文化の国と自分の価値観を照らし合わせることができる。
1国か2国程度琴線に触れた国を選んで感想を書こう。
キノに味方してもいいし、国の是非について議論を深めるのも一手だ。

そして、ラノベの短編集を扱うなら絶対に外せないのは古橋秀之の「ある日、爆弾がおちてきて」だろう。

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

時間をテーマに奇妙なボーイミーツガールを描ききった短編集で、非常に甘酸っぱく、楽しいのに物悲しいストーリーが7つ掲載されている。
多くの人が表紙で敬遠してしまうが、非常にもったいない。大人が読んでも読みごたえのある傑作集となっている。
表題作「ある日、爆弾がおちてきて 」は世にも奇妙な物語でドラマ化し非常に反響を呼んだ。
散々心を揺さぶられた後の見事な結末は大きなインパクトを残すことだろう。


以上。
どれでもいいので図書館にGOである。

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