たまには昔の話をしましょう。
べつにマロニエの並木道の話じゃないです。
ライトノベル黎明期、電撃文庫が創刊して間もないころ。
大漁の傑作、しかも多様性に富んだ様々な物語が世の中に現れました。
まさにライトノベル全盛期に至るまでの、跳躍の期間。
高畑京一郎さんの傑作が生まれたのもそんな時代の話。
読む本がないあなた。今ならkindleもありまっせ。
傑作時間跳躍ミステリ物 「タイム・リープ あしたはきのう」をおすすめします。
- 作者: 高畑京一郎,衣谷遊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (4件) を見る
タイム・リープ あしたはきのう
ごく普通の女子高生である鹿島翔香は、ある日夢を見ます。
学園の秀才若松和彦と知らない部屋でキスをしている夢です。
びっくりして起きると、火曜日。月曜日が飛んでいることに気づきます。
もしかして昨日の記憶がない?自分に何が起きたのか。
恐る恐る毎日つけている日記を読み返します。
そこには昨日の自分が書いたらしい、見覚えのない文章。
「あなたは、今、混乱している。。。若松くんに相談しなさい。最初は冷たい人だと思うかもしれないけど、彼は頼りになる人だから。」
知らない傷。なぜかよそよそしい(?)友人。初めてとった100点の答案。なぜか狙われる命
そして意味不明なことをいいながら協力してくれる若松和彦。
果たして彼女の身に何が起きたのか。
秀才若松和彦とともに、時間のパズルを解き明かしていきます。
徐々にほどけていく時間のパズル
あしたはきのう。副題通り時間のパズルを鹿島翔香視点でたどるミステリーとなっています。
明日は昨日、昨日は明後日。知らない昨日未来の自分に果たして何があったのか。
非常に面白いのは協力者の若松は正常な時間軸を動いているということです。
ただ、パラドックスを恐れて前情報を教えられない。
あいまいなことをいいながら鹿島を導いていかないといけません。
昨日の私はいったい何をしたのか。
明日の私のためにいったい何をしなくてはいけないのか。
そして失われた始まりにたどり着くために、いろいろ想像を張り巡らせながら彼女の冒険を追いましょう。
若松との恋物語
若松との恋物語も必見です。
時間のずれによって好感度に差がある二人。
でも、徐々に惹かれあっていく当人たち。
甘酸っぱくて、でも謎が犇めいていて。そういうものですよね思春期の恋って。
目の前の問題を解決しながら、最初はいけ好かなかった相手が徐々に運命を共にするパートナーになっていきます。
ラストの怒涛の展開は必見。
全ての伏線がつながった後の「ただいま」は忘れられない一言になるでしょう。
総括
彼女の身に何が起きたのか、それは皆様に読んでいただくことにして。
伏線と謎が大量にちりばめられることになる時間跳躍物はやはり面白いジャンルです。
どう彼女は飛ぶことになったのか、様々な問題はいかにして起きたのか。
最後まで読めば一本の線につながり大団円を迎えることになるでしょう。
話自体はコンパクトにまとまっているので土曜か日曜に全部読み切れると思います。
ラノベ黎明期の傑作ミステリー。
あなたも時間のパズルを解いてみませんか?