おてんば娘っていいと思いません?
思慮が深いとなおいいですよね。大人の理屈や周囲への配慮が可能なほど知識がある上で、それらを無視して助けたい人を助ける女の子って素敵です。
昔からのジャンルでお姫様や金髪ツインテールが主流です。
こっそりじいやの目を盗んで窓から飛出し巷の問題を解決して回るお姫様。
古典的な展開ですよね。古典的王道とは求めている人が多いから王道と呼ばれ長く続いているのです。
クレヨン王国とかなんど見直したことか。
ということで、おてんば娘。英語に訳すとフラッパー。
私のブログテーマ的に、当然月刊コミックフラッパーのことになります。
(たまにトレーサーのこと)
コミックフラッパーといえば、アニメが(途中まで)大成功した「くまみこ」や作者がとある方面でコメディ漫画家と有名な「ちおちゃんの通学路」、女の子たちの笑顔が素敵なガルパン外伝「ガールズ&パンツァー リボンの武者」などおすすめ作品がたくさんあります。
本日はその中の一作。
あのエリア99でおなじみ新谷かおるさんの傑作おてんば娘名探偵活劇「クリスティ・ハイテンション」をおすすめしたいと思います。
クリスティ・ハイテンション 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
- 作者: 新谷かおる
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2013/07/15
- メディア: Kindle版
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ちなみに現在は第二部「クリスティ・ロンドンマッシブ」が連載中。
クリスティ・ロンドンマッシブ 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
- 作者: 新谷かおる
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2013/07/15
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シャーロック・ホームズのパロディ
いやここは格調高くパスティーシュとかいたほうがいいのでしょうか。
マザリンの宝石、踊る人形、バスカヴィル家の犬などなど。ホームズが手掛けた数々の難事件を「ホームズの姪が各事件にかかわったらどうなるか」で再解釈した傑作ミステリコメディとなっています。
合えてコメディと書いたのは、まぁ結末は変えてないし、犯人は周知のところだからです。
さらにファンタジーな設定も出てきますので、コメディ漫画として楽しむのがいいかと思います。
イギリスロンドンとホームズいえばヴィクトリア女王ですが、女王と探偵というと設定的には「女王陛下のプティアンジェ」を思い出しますね。(さすがに当時生まれてないんで再放送でバラバラの断片しか見てないけど)
プティアンジェでは女王陛下の宝石を見つけたという設定ですが、本作ではより直接的にクリスティが実はヴィクトリア女王の孫ということになってます(作中でも超秘匿事項となってますが)。
また、ただのパロディでは終わらず独自解釈や時代考証が非常にしっかりしている点が、読みやすさや面白さを支えており、ホームズを知っている人も知らない人も楽しめる作品に仕上がっています。
(ところで最近の話題でヴィクトリア女王といえば、civ6ですね(断言)。あと二か月後で発売です。)
あらすじ
19世紀末のイギリス、ロンドン。さまざまな事件が起こるこの町に高名な名探偵がいた。その名もシャーロック・ホームズ。数々の難事件を解決する彼には名探偵顔負けの姪クリスティがいた。クリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープは、10歳の少女。伯父譲りの頭脳と持ち前の好奇心から、彼女はさまざまな事件に足を運び、首を突っ込み、時には解決し、時にはホームズに先を越されながらも、多くの成長をしていく。
ちなみに第二部ロンドンマッシブはハイテンション最終巻での大事件から六年後の話になっています。
主人公はおてんばにして頭脳明晰な少女クリスティ。
探偵でクリスティといえば、そして誰もいなくなったや名探偵ポアロを生み出したアガサ・クリスティが思い出されますがなんか関係あるんですかね。
このクリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープ。わずか10歳であらゆる図書や公文書を読破し、学力はオックスフォード入学を推薦されるレベル。ラテン語なんかも朝飯前です。でもその反面、音楽やダンス・刺繍などのレディの嗜みはまるでダメ。典型的なおてんば娘となっております。
めっちゃかわいい。
家族が遠くに赴任し、一人残された寂しさで伯父ホームズによくちょっかいを掛けます。聡明な叔父にどうにかして認められたいと思い反発しながらも甘える姿はとても愛らしいです。
自前の知識についてのプライドも高く、知らないことがあるとふくれっ面になるところがまたツボをついてます。
非常に優れた頭脳を持ちながらも幼さゆえの失敗や経験の無さにもどかしい思いを抱えつつもどんどん内外ともに魅力的に成長していくクリスティがこの作品の胆となります。
家族思いで友達思い。おてんばな子供らしさと大人顔負けの頭脳、そして多くの慈母性を持ち合わせるスーパー娘の成長を見守りましょう。
個性豊かなホープ家の面々
どっかで見たことあるぞこの人たち(砂の薔薇やクレオパトラD.C.からのスターシステムですね)。
新谷かおるさんのキャラメイクは非常に好きですね。
特にホープ家の中でも、側近のスーパーメイドは主役を食う勢いです。
メイド長アンヌマリー・ホプキンスは完璧メイド。クリスティとノーラのストッパーで、いつもはクリスティにお小言をいう立ち位置ですが、いざという時は冷徹にクリスティの敵を排除します。とある事情により幼少から銃の扱いに手馴れており、頭の回転も非常に速いです。クリスティが安全にいられるのはこの人のおかげといって過言ではありません。
ところで、どう見ても真理子&ヘルガ
そしてメイドの中でも側近のノーラは屑親に虐待された育ちの経緯から読み書きがでない上、はすっぱな物言いで名家のメイドらしくないといわれていますが、クリスティへの忠誠心はアンヌマリーと引けを取りません。ムチの名手であり敵感知もすさまじいものがあります。基本的にクリスティの護衛を任されることが多く、時にはクリスティとともに暴走し、二人で危険な場所に突貫するなど、彼女にとって相棒ともいえる立ち位置となっています。
どう見てもアイリーン。
この二人がいるので、危ない橋もクリスティは安心して渡ることができます。
2人の戦闘力は作中でも非常に高く、さすがスーパーメイドという役どころです。
アンヌマリーもノーラも乙女な一面を持ちながら、非常に男前な性格で、大好きなキャラクターです。
おてんばで、危ない場所に平気で突っ込むお嬢様を守るため、日々護衛として行動している二人ですが、基本的にはクリスティの味方をしているところがいいですよね。
家族に代わって常に見守っているお姉さんな感じ。
クリスティの寂しさを理解しつつ、彼女のために何ができるかを真剣に考えているところが端々に見え、二人の愛情が深いことを物語ります。
加えてホープ家最大重要人物といえばグレース・アメリア・ダンバーでしょう。
数々の教師がさじをなげたクリスティの教育を任された住み込み家庭教師です。
もともとはクリスティとホームズに無実の罪を晴らしてもらった彼女、何がクリスティにとって一番の教育かを真剣に考えます。
赴任してすかさず、”知識については教える必要はない”と見抜き、経験の幼さをどう補うか、如何に豊富な知識を現実問題に対して利用するかなどの思考方法について教える方針をとります。さらに、女性らしさとは何かについて非常に先進的な考えを持っており、必ずしも女性のたしなみと言われている裁縫や音楽は必要ないのではないかとクリスティをかばう発言も行います。
先進的かつ、多くの人間が理解できなかったクリスティの知恵についていく度量は頼もしいものがあり、クリスティも一発で気に入ってしまいます。
穏やかで温和な性格でありながら、芯が非常に強く、アンヌマリーに代わってのストッパーや、逆にクリスティを勇気づけるなど、クリスティにとって非常に大きな存在です。
第二部では驚きの転向。さすがはグレースといったところでしょう。
どう見てもティナ。
アクション活劇とミステリが織り交ざったエンタティメント
とにもかくにも様々な事件にクリスティは首を突っ込みます。
女性的見地から、子供の思いきりからホームズとは違った独自見解で謎を解く場面も多いです。
最初のほうで見られた幼さからの過ちをちゃんと反省しているのがわかるのも好印象。
やはり頭がよく、思慮が深いキャラクターは魅力的です。
頭脳明晰で大胆なのに慎重冷静な様はホームズ譲り、思い切りの良さと好奇心が強いところは子供ならでは。
クリスティとたまにホームズが読み解く難事件と、クリスティとメイドたちが繰り広げるアクション活劇はこの設定ならではでしょう。
推理とアクションの組み合わせは人気ジャンルでもあります。
万人が楽しめるエンタテイメントに仕上がっているといってもいいでしょう。
大人を振り回す快活なおてんば娘。
クリスティの活劇をぜひ読んでみてください。
もし気に入れば第二部ロンドンマッシブもお手に取ってみてください。
レディになったクリスティの活躍もさらに楽しめますよ。
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