「どうしてっ!?」。彼女が再び叫んだ。どうしてこんなことになったのか――それは僕が知りたい。
家にある本棚の中で最も長いタイトル。
ソードアート・オンライン オルタナティブガンゲイル・オンライン(以下略)
作家は時雨沢恵一。。。
二番目に長いタイトル。
男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。
これも時雨沢恵一。。。。
でも、この人の傑作は「キノの旅」
別に長い小説が芸風じゃないですよ。
ライトノベル黎明期の終わりごろ、2000年に出た傑作キノの旅は、異色を取り揃えていた電撃文庫の中でも異彩を放ち、大ヒットシリーズになりました。
ラノベ読みなら一度は触れているはず名作。
そんな時雨沢恵一さんが、自身の作家経験を男子高校生目線で書く、おそらくラノベ作家志望者向け作品。
作家ってのはこんな風に考えて作品を作ってるんだよ。ということを伝えている物語。
それが、男子高校生で売れっ子(以下略 です。
長いタイトルのキワモノとだと思うのはもったいない。物語書き志望ならぜひぜひ読んでみてほしい作品です。
男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)
- 作者: 時雨沢恵一,黒星紅白
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/01/10
- メディア: 文庫
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あらすじ
男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしている主人公が、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている状態でこれまでを回想する(1,2巻)。
タイトルまんまですね。
なんかこれだけだと叱られそうな気がする。
ちゃんと書きましょう。
主人公は、高校生でラノベ作家。電撃文庫において「ヴァイス・ヴァーサ」を発刊し作家デビューしました。
このヴァイス・ヴァーサ、非常に人気が高く1年執筆のために休学しなければならないほど。さらに一年後復学したときにはアニメ化も決定するほどの順調ぶり。学校でもクラスメイトからヴァイスヴァーサの話題がたまに出ますが、自分が作家であることを隠しています。(そもそも留年してるのでぼっち)
さて、アニメ化したため主人公は毎週木曜日アニメのアフレコのために特急列車で向かいます。そこでクラスの女子(かわいい)と鉢合わせします。
何を隠そう彼女、似鳥絵里はヴァイスヴァーサのアニメに抜擢された声優で、当然アフレコのため同じ列車に乗っていたのでした。
主人公は、”アニメに対するよりよい演技のために”彼女からの質問に答えていくのですが。。。
ーーーーーーーーーーーこれは、僕が、やがて意識を失うまでの、走馬燈のような、お話。
基本的には、ラノベ作家の経験とどうやって物語を作っていったのかを対話形式で語るだけの内容です。
ラノベっぽいのはヴァイス・ヴァーサの内容と、似鳥のかわいさぐらいですかね。
それだけ言うとあれですね。ラノベが出来るまでに興味があるかた以外お断りっぽく聞こえるかも。。。。。。
ですが、さすが時雨沢恵一。文章が非常に読みやすくストーリーもしっかりしており、一般の人にもお勧めできるものになっています。
上下巻(1巻と2巻)で一つの作品。
物語としては「なぜ彼は首を絞められることになったのか?」を紐解いていく作品です。
上巻は基本的にラノベとはどのように生み出されていくのかを語るだけの代物なので、正直興味ない人には厳しいです。
逆に私なんかは物書きを目指したこともありますので、興味深く読めました。
しかし実は上巻には数多くの伏線がちりばめられており、下巻つまり「なぜ彼は首を絞められるにいたったのか」を語る上で重要な話になっております。
一気に読みましょう。
しっかり読み進めてみると、ただただ電車の中で二人が話しているだけなのに、様々なことが分かっていきます。
そもそも彼女はなぜこんな質問をしてきたのかも解き明かされていきます。
全く動きのない地味な物語がすすんでいるのに様々な気づきがあり、そして最後に向けての怒涛の展開。
一種のミステリでもありますよね。(無理やりか?)
しっかし、どう考えても上下巻で一冊にまとめるべきだとも思いますけどね。せっかく面白いのに上巻だけ読んでやめる人多いんじゃないでしょうか。
上下巻で一つの作品だと思ってください。
ああ、こんな妄想してたよね。
心当たりありまくりな物書きの起点がいっぱい出てきます。
学生時代妄想を膨らませ、教室の窓を突き破ってドラゴンが飛来するし、校門に異界へのゲートが開いたものですよ。
でも多くの人はそこで終了です。
じゃあそこからラノベ作家はどうやってラノベ作家となったのか。
結構貴重な意見として読めました。
なるほど、妄想の一歩先に進まねばならなかったのか。
「そのシーンとシーンの間が書けないことに気づく」
とは主人公の言ですが、
確かにわかります! クライマックスや自分の自信があるシーンは妄想の中で取り留めもなく進むのですが、間を補完しようとすると一気に妄想が縮小します。そういう難題を解決していくことで”物語”は物語として成り立つのだろうなと。
読み物として読むならば先ほど書いたように「上巻は興味ない人にはつらい」という結論に達するのですが、それでも私は上巻に書かれた軌跡も一読の価値は十分にあると思いました。
もしよければせっかくなので、彼女と彼の行方だけでなく、時雨沢恵一の語るラノベの書き方にも注目いただきたいところ。
かわいい。かわいい。
三巻では嫉妬する似鳥ちゃんがみれますよ!
詳しくはネタバレなので書けないのですが、三角関係?みたいな。
愛が重い娘が好きだってのは再三別のレビューでも語ってますが、やっぱいいなー。いや私事ですけどね。
似鳥ちゃんいいキャラです。
最初はね、地味キャラだし何考えているかわからないしで戸惑いますが、話を進め巻を追うごとにどんどん好きになっていきます。
こういうキャラが生き生きと動くさまは、さすがベテランだなと思いました。
ということで感想にもならない感想ですが
長文タイトル 「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。」
色物として見ずに良ければ手に取ってみてください。
おすすめです。
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