将棋は単なるゲームにすぎない
けれど俺達にとって将棋は全てだ。
将棋がさせないなら生きている意味がない。
そう信じて戦い続ける者が「棋士」なのだ
.
りゅうおうのおしごと!3巻より抜粋
なんにせよ、どれにせよ、どんなものにせよ
命をかけて心魂を燃やして熱中する姿は熱い。
ということで、現代農業に横たわる闇と苦悩と狂おしいまでの情熱を、あまりにライトでおふざけに満ちたテキストで書ききった「のうりん」でおなじみ、白鳥士郎先生の最新作「りゅうおうのおしごと」
将棋を指す人もそうでない人にもおすすめの一作です。
- 作者: 白鳥士郎
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2015/09/25
- メディア: Kindle版
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あ、公式は下記リンクです
GA文庫|「りゅうおうのおしごと!」特設ページ
=>その後、5巻の短文感想も書きました。
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あらすじ
【クズ竜王】九頭竜八一の竜王失冠を信じ鶴を折るスレ108【勝率三割】
史上最年少16歳竜王。数多のプロをなぎ倒し圧倒的な才能を見せつけた九頭竜八一。
しかし、竜王になってからは連敗続き。試合をしても全く面白くもない棋譜を作ることから、誰が付けたか”クズ”竜王。
ファンはアンチになり、将棋史上最強の称号「竜王」を背負った重圧、プロとしてただ勝つだけじゃなくキレイな打ち筋を求められるストレス。
彼はもはや立ち行きいかなくなっていた。
そんな中、ある日家に帰るとそこには、”ランドセルを背負った小学生の女の子”が鎮座ましましていた。
「おかえりなさいませお師匠さま!」
最初は彼女を追い返そうとしたが、その神がかり的な才能に惚れ込んだ彼は小学女児を一人弟子に取ることにする。
彼女の期待、負けられない意地、そして将棋打ちのプライド。
弟子が彼を竜王として覚醒させる。
誰にも負けない それがりゅうおうのおしごとだ!!!
熱い
とにかく熱い。
ライバルとの戦いをめぐる第一巻は序盤から一気に引き込まれる熱さ。
この作家白鳥士郎という人は、大量のパロディ、奇人変人、文中に顔文字、崩し文体、ひらがなやオノマトペ、1ページ一行等ある意味現代ライトノベルらしいタッチと、研究+取材を重厚に積み重ねた深いバックボーンを融合させたコメディものが非常に上手い作者さんです。
前作、現代農業の重い重い闇に奇抜なキャラクターたちが大量のギャグを挟みつつ立ち向かう「のうりん」は文体に忌避感がないならばぜひ読んでいただきたい傑作。
- 作者: 白鳥士郎
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2013/09/12
- メディア: Kindle版
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それがこの「りゅうおうのおしごと」となります。
初心者にもわかりやすい
とはいえ、将棋ですので。
文体で説明されてもなんやこれ。ルールがわからない人も多かろうと思います。
しかし「りゅうおうのおしごと」はきれいな運びや説得力のある棋譜よりも、
”勢い”と”熱さ”と”小学生は最高だぜ!”
を前面に押し出す作品なので、熱さが伝わればルールを知らなくてもいいです。
完全に勢い重視。
まぁ一応詰みになったら負け、とか、詰めろ(相手が次に間違ったら詰みなる状態にすること)とか、角や飛車は大駒とか。
そういう知識があるともっともっと楽しめます。
この機会に将棋そのものに興味を持たれるともっと素晴らしいかと。
これ系ではたとえば熱い熱い将棋バトルが繰り広げられる主義真剣師ものコミック「ハチワンダイバー」が有名ですね。
ハチワンダイバー 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 柴田ヨクサル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: Kindle版
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専門用語や組系、将棋物の楽しみ方をマンガという”絵”で表現されているので、将棋物入門編としても非常におすすめです。
様々な因縁といちいち熱い対戦
将棋のプロは一試合負けると死ぬより辛いそうです。
下手な手を打った利き手を切り落としたくてたまらなくなるそうです。
そして、そこにあるのは”努力する天才”のみが集まる世界です。
対戦相手一人ひとりにドラマが有り、ストーリーがある戦いが非常に熱い。
例えば一巻でも長年ライバルが一巻最後の敵なんですが、きれいに戦おうと持ち味を崩しまくっていた主人公にやきもきしながらも、それでも覚醒を待ち望んでいた彼が、主人公の開き直りに「それでこそ竜王八一」と香車を打ち込むシーンは涙が止まりませんでした。
負ければ死。だけれども強い敵と戦い最高の棋譜を残すのも至上の喜び。
様々な相手と戦うことになりますが、
ライバルだけでなく出て来る棋士たちの様々なバックボーンや信念もかっこいい。
例えば姉弟子にして幼馴染の空銀子。
彼女は”浪速の白雪姫”と呼ばれる現在女性最強の棋士なんですが、その名前の由来が
「白雪姫の”白”は真っ白な髪や透き通る肌から来ているんじゃないです。ただただ降り積もり一点の黒もない大量の白星が彼女を浪速の白雪姫と語らせる」
って、もうね。
個性的な棋士たちの熱いバトルが楽しめます。
師弟成長物としても熱い。
主人公もそうですが、厳しく冷たい将棋世界に自らを放り出した弟子”あい”の成長物語としても面白い作品で、特に天才としての苦悩、仲のいい人たちを斬り殺していかなければならない残酷さがよく分かる作品となっています。
また、主人公を含め誰でも”負けたくない”わけです。
でも、なぜか多くの人が弟子を取り、自分を負かせるぐらいに成長させます。
それはなぜなのか。
なぜ将棋しかないハズの棋士が、ライバルを育てることに手を貸すのか。
そういった師弟の成長物語と苦悩も楽しめました。
当然萌え物としてもも三角関係と修羅場が素敵
というかこれがおそらくこの作品の本題。
- 師匠第一。師匠LOVEな嫉妬深い小学生雛鶴あい
- 素直になれない超ツンツンデレ姉弟子かつ無敗の女性棋士空銀子(年齢は主人公より下)
- 二巻で登場光の雛鶴あいに対するもう一人の弟子、隠した依存度高めかつツンデレ小学生夜叉神天衣
三人が三人共重い重い愛を主人公に向けています。
というか白鳥先生のヒロインって全作大抵みんな重いよね。
でも主人公は将棋一筋の将棋バカなので一切そういうことは気が付きません。
(というか三人中2人が素直になれないツンなので恋愛経験値最低の九頭竜八一は気付けない)
しかも彼は年上が大好き。
姉代わりの清滝桂香が大好きなのです。
そういう五人の恋の鞘当てや、白鳥先生特有の重い愛情から繰り広げられる修羅場コメディもおすすめ。
こんな感じの鞘当
彼らの恋の行方はどうなるのか。
そしてクズ竜王あらため小学生大好きロリ竜王の詐称は払拭できるのか。
ということで将棋ものをライトなタッチで軽く読める熱い傑作ラノベ
りゅうおうのおしごと
手にとって見てはいかがでしょう
- 作者: 白鳥士郎
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2015/09/25
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=>5巻短文感想
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