citrussinのチラシの裏

ゲームや読書感想、日々のことを適当につづる日記。TwitterID @sinensis197

説得力あふれる狂った歴史観と名言だらけの歴史ギャグコミック。火鳥「快楽ヒストリエ」が面白い。

太陽よりも煮えたぎる欲望をペン先に浸して描く蠱毒の坩堝。
鬼才ひしめくエロ漫画業界の最果てに、歴史の闇を暴かんと道なき道を歩む一人の天才作家がいる。
ワニマガジン刊行「COMIC快楽天ビースト」巻末漫画。
『膨大な資料を読み解き、脚色のない史実のみを記した秘史短編集』と銘打つ異端の歴史譚。
火鳥「快楽ヒストリエ」

快楽ヒストリエ (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

快楽ヒストリエ (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

歴史の真実を独自すぎる新たな解釈から照らし出す。
ひと目読めば腹筋が崩壊して感動の涙間違い無しの一作。

買ってから色々あってだいぶたったけど、布教のために記事作成。

あらすじ

「歴史の常識」とは一つの発見によってたやすく覆される薄氷の学問である。
古代人の愛した文化。邇邇藝命が知った大いなる悲劇。バベルの塔の本当の罪。
多くの真実は、長き時を経てやがて忘却の彼方へと消える。
義経と弁慶の間に芽生えた唯一無二の絆の正体を。
信長暗殺に隠された驚愕の真実を。
エジプト史から抹消された知られざる王の伝説を。
我々はまだ知ることさえ許されない。
神は6日で世界を作り、そして14日に快楽天を購入なされた。
これは、歴史の闇に隠された、人類とエロ漫画の物語である。


快楽天ビーストがあるいみ誇る巻末マンガ「快楽ヒストリエ」の単行本です。
作家の火鳥先生と言えば、東方Project二次同人でお馴染みですね。
「紅魔館主従の間で起こる賑やかなドタバタコメディ」や「古明地姉妹の心温まるハートフルホームドラマ」が有名。
嘘はいってない
他にも防衛省・自衛隊 岡山地方協力本部からの依頼で「ジエイのお仕事」というお仕事物も書かれてます。

特に火鳥先生が実際に自身の経験を糧に描いた古明地姉妹の物語は、真に迫る描写が素晴らしい傑作でした。
あれを読んで一気に心臓を掴まれファンになりました。
ピクシブ等で告知されるお家芸も大好きです。

  • ピクシブリンク

www.pixiv.net

そんなある種の天才が綴る新解釈歴史コミック。
R18サイトに紹介が乗っているのに何故か全年齢で買えちゃう漫画。
信じる者は足元をすくわれる系ギャグ・コメディ。

でも、きっと、今度こそ。
ToLOVEるだって全年齢なんだし。単行本化もしたんだから。
ちょっとぐらいエッチなシーンあるかもしれないよ?
ということで、みんな信じよう。



重厚な歴史ネタから繰り出されるカミソリよりも切れる名シーン

甘く見てはいけない。
どう考えてもおかしいのに、その重厚?な資料設定から語られる「エロ漫画と人類史」に謎の説得力を感じてしまうのだから、やはり火鳥は天才と言わざるを得ない。
本当に真摯に歴史に向き合った上で、冒涜なまでに「エロ漫画が人類史に与えた影響」をこじつけまくってて。
「豊臣秀吉女子高生説」「徳川綱吉幼女説」「天草四郎女子高生説」みたいな。
真面目に考えるのがバカバカしい新説の中で、実際存在したかのように息づく人々の真剣そのものの生き様が、なんかもう形容しがたい説得力になってる。


そして、そんな世界観で繰り出される名言、名シーンの数々。
しかも一つが一つが一枚刃カミソリぐらいにキレッキレ。
吉原遊女が、自分の現状に嘆きながら
「わかんねえけど あたし今吉原に咲いてんだ!!」
って叫ぶ場面は笑いすぎて涙が止まりませんでした。

「どきなさいっ!王の敏感な乳首を吸うのは古来より大妃の役目よ!!」
とか
「アツアツご飯にフィストファックなんて、あなたの美しい指には似合いませんよ」
とか
まじでどんな顔して生み出した言葉なのかまじで聞いてみたい。
頭の中を覗いてみたくなるぐらいの狂った発想が楽しすぎる。
さすが紅魔館の残り湯でテルマエがロマエする人は発想の根本から違うわ。

そんな狂ったやり取りが、1Pごとに襲いかかってくるんだから、もうこれは笑うしか無いです。
素晴らしく説得力あふれるこじつけ歴史と、その世界を彩る数々の名シーンに全編通して笑い転げました。

火鳥の描く女の子がくっそ可愛い。はよ信じるものを救ってくれ。

火鳥先生の作品を語る上で抜かせないのが、ぶっ飛んだ価値観あふれるキャラクターたちの生き生きとした表情だろう。
そうか、そんなに古代の人達は性に対して真剣だったんだなぁと。
騙されてしまいたくなるほど魅力的。
綱吉が「お母さんもおもちゃ入れるって・・・」って恥じらう場面は、やはり天才か・・って思いました。
そして、あの展開から生類憐れみの令発布の件まで持っていくのは、火鳥しかできない手管。


ていうか
すっごい悔しんだけど、やっぱ火鳥先生の描く女の子は可愛い。
すっごい悔しいけど
先生はそろそろ編集長に謝るべき(´・ω・`)

八重歯やツリ目、デコがストライクすぎんだよなぁ。
各々が魅せるコロコロ変わる表情の描写も秀逸。
個人的には小早川編で出てくるデコとデコの争いが大好きです。
くっそかわいい。
あと弁慶ちゃん。


総括

人類の進化と不可分である「エロ」と人々の付き合いを、真正面から描く力作。
笑いすぎて涙無しでは語れない傑作歴史マンガです。
こじつけがうますぎる鋭い視点から語られるバカバカしい新説の数々。
センスと勢いに圧倒されるキレッキレの名言。
そして、「いい加減掲載されている雑誌の役目を果たしてくれ」といいたくなるぐらいに魅力的なキャラクターたち。

一話完結歴史ギャグとして、下ネタコメディとして、萌モノとして。
腹抱えて笑える傑作コミックだと思います。

火鳥「快楽ヒストリエ」

快楽ヒストリエ (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

快楽ヒストリエ (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

おすすめ。

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