citrussinのチラシの裏

ゲームや読書感想、日々のことを適当につづる日記。TwitterID @sinensis197

オーバーウォッチ講座:オーバウォッチの歴史、ストーリー その7-1 ヒーローのいない世界

初めての方はストーリー記事その1へ(リンク)

前回は
www.citrussin.com

オーバーウォッチの解体を話しました。
そう、これまで世界をかろうじて守ってきたオーバーウォッチは、他ならぬ一般市民たちの願いによりこの世界から排除されました。
そして待っていたのは、ヒーローのいない世界。

ヒーローのいない世界

オーバーウォッチの解体と同時に、噴出していたテロは奇妙なほど一斉にその姿を消した
世界は落ち着きを取り戻し、メディアが危機をがなりたてることもなくなった。
多くの人が家路につき、安寧を取り戻す。

やはりオーバーウォッチの解体によって、平和は訪れたのだろうか?
この世を混乱させていたのはオーバーウォッチ自身だったのだろうか?

しかし、見えないところですでに侵食は始まっていた。
一般市民の知らないところで、民衆を搾取する企業たちや様々な暗躍を行うタロンの破壊工作により、密かにしかし急速に被害は拡大していた。

  • 企業や腐敗政府による圧政に苦しむ弱き者達
  • 人間同士の終わらない対立
  • オムニック対人間の憎しみの激化
  • 世界的な異常気象と、絶滅していく動植物たち

オーバーウォッチなき今、決して表に出ない混乱が世界全土を覆っている。
そしてもはや、ここはヒーローのいない世界だ。



引退ヒーローととある少女の決意

立ち上がる「オーバーウォッチの声」

前回のラインハルトは6-2参照
=>オーバーウォッチ講座:オーバウォッチの歴史、ストーリー その6-1 死にゆくもの去りゆくもの - citrussinのチラシの裏


解体前にオーバーウォッチから引退し、かつての仲間が膝を屈する様を忸怩たる思いで眺めるしかなかったラインハルト。
そしてオーバーウォッチが解散しヒーローがいなくなったとき、そこにあったのは正義が踏みにじられ、弱者が虐げられる。
名誉と栄光なき世界であった。
かつての友バルデリッヒ・フォン・アルダーが守り抜いた故郷さえ、ボロボロに崩れていく。
彼は混乱に向かって突き進む世界を傍観することはできなかった。


故郷を、正義を、人々を守らなければ。
彼の決意はボロボロになった老体へかつての鎧をまとわせ、その体を再び戦場へと送り出した。


全ては友との約束のために。
全ては嘗て仲間と目指した平和のために。
全てはこの世に正義をもたらす騎士となるために。


「正義は勝つ」
初代オーバーウォッチメンバーにして、過ぎ去りし時代の王者を自称するラインハルト・ヴィルヘルム。
年老いてなお、彼は武勲、正義、勇気といった騎士道精神を重んじる戦士であり、いつか必ず正義が報われると信じている。

ラインハルト


私はみんなの盾となる

ブリギッテってだれや?という人はその3参照
=>オーバーウォッチ講座:オーバウォッチの歴史、ストーリーについて知っておくと、ゲームをもっと楽しめる その3 オーバーウォッチ黄金期 - citrussinのチラシの裏



老体に鞭打ち戦うラインハルトを見て、少女も決断の時が来た。
幼きよりラインハルトやトールビョーンを見て育ち、そしてオーバーウォッチが凋落するさまを見てきた女性。
ブリギッテ・リンドホルム。

彼女はラインハルトの武者修行に従者として参加することを願い出る。
ラインハルトも驚きはしたものの、「あの子が望んだことだ」とその願いを聞き入れた。

=>ちゃんとしたエピソードはないものの、彼女の(おそらく)姉代わりであったアンジェラ・ジーグラー(マーシー)は危険だと反対していた模様。
ラインハルトとマーシーがチームを組むと、マーシーがたまにブリギッテのことでラインハルトに苦言を呈する。

一人は二人となり、このヒーローなき世界で旅をする。
弱き者を救い、正義の灯火を絶やさないために。


旅の中でブリギッテは様々な雑用を任されていたが、特に「クルセイダー・アーマー」の整備は重要な仕事だった。
彼女がいたからラインハルトは旅路で無茶が出来た。
しかしラインハルトにはすでに老体であり、嘗ての輝かしい力はない。
旅が続くにつれ、ブリギッテは鎧本体の整備だけなく、ラインハルト自身を守ることが必要だと感じるようになった。
ボロボロのラインハルト

どんな職人でも、どれだけ鎧が優れていても。
戦いが終わったあと、傷ついた後では意味が無い。
でも、ともに戦うことができるなら、敵から、そして彼ら自身からその身を守ることができる。


ともに戦うのだ。
整備士としてだけでなく、守られる従者としてではなく。
隣で助け合う戦士として。
ブリギッテ自作アーマー


彼女はラインハルトから戦闘訓練を受け、自作のアーマーを身にまとう。
ーーーそしていつしか、あの守られるだけだった末娘は、彼らヒーローを守る存在となっていた。

私の名前はブリギッテ・リンドホルム。
私は、みんなの盾となる。

ブリギッテリンドホルム

  • ブリギッテのオリジンストーリー

www.youtube.com




故郷を守る彼らの活躍は、公式コミックでエピソードを見ることが出来ます
=>Blizzard | Overwatch Comic


ブリギッテはラインハルトとトールビョーン双方のヒーローとのつながりを端々に見せるヒーローです。
例えばトールビョーンが右肩につけたタトゥーを、ブリギッテは左肩に彫っており
ブリギッテのタトゥー

ラインハルトの盾についているライオンは、ブリギッテの盾にもつけられています。
ブリギッテの盾にライオン

その他ずっと整備していたためか、ブリギッテの自作した鎧もフォルムがクルセイダーアーマーに近いです。


ということで、ブリギッテは味方のそばで彼らの横に並びながら戦うことを決意したヒーローです。
一人で遠く離れた位置で戦うブリギッテさんは、なんのために鎧を創ったのか思い出しましょう。
ラインハルトさんの横斜め後ろを付かず離れず協調して敵をプッシュすると、強い上にストーリー的連帯感がいい感じです。

悲劇の天才技術者

オムニウム技術が開発された時、真っ先に警鐘を鳴らした技術者。
あらゆる兵器の生みの親。
かの天才の名をトールビョーン・リンドホルムという。

全盛期のオーバーウォッチが、なぜ地球最高の先進的軍備を保有できたか。
それはトールビョーンという天才技師がいたからにほかならない。
J8が誇るクルセイダーアーマーも、Dr.ジーグラーが開発したヴァルキリースーツも、ゲンジのサイバネティックボディでさえ。
彼がいたからこそ皆十全の状態で戦地に赴けたのだ。
(ということで、ラインハルトがトールビョーンと組むと、「昔のように鎧の手入れは任せたぞ」との掛け合いがあります)


オーバーウォッチ黄金期。オーバーウォッチ技術主任として、平和のためにトールビョーンは数々の新兵器、新機構を生み出しつづけた。
それはオムニッククライシスを止めきれなかったことに対する彼なりの贖罪でもあった。
「テクノロジーはより良い人類の未来のために使われるべき」
オーバーウォッチならば、この兵器たちをより良いことに使ってくれるだろう。
そして、世界を平和に導くであろう。
トールビョーンはそう信じていた。


だが、オーバーウォッチが解体された後、彼の創った兵器たちはどうなったか。
「危険極まりない武力集団であったオーバーウォッチの遺産を隔離する」
オーバーウォッチ崩壊の余波の中、権力者たちはこぞってオーバーウォッチのテクノロジーを接収していった。
そしてトールビョーンの開発した兵器は世界中に散逸し、一部は戦争や略奪、テロ、市民を押さえつけるための道具へと転用されていく。


未来のために作り出したものが、また弱者を痛めつけるための道具と化す。
これではクライシスのときと同じではないか。
責任を感じたトールビョーンは再度立ち上がる。
もうオーバーウォッチはいない。
今度は自分だけの手で悲劇を食い止めなければならない。


多くの発明により発展と悲劇をもたらしてしまった世界一の天才技師。
トールビョーン・リンドホルムは、自らの発明が悪の手に落ち、罪なき人々に害がなされるのを防ごうと、世界中で戦っている。
トールビョーン


もう片方のホルスの眼

エジプトに伝えられるホルスの眼の伝説を知っているだろうか。
「全てを見通す」と謳われるホルスの両目は右目と左目で意味が違う。
右目はラーの眼と呼ばれ、魂をあらわすその形に宿るのは、「自らの敵対者を滅ぼす」という戦いの眼だ。
”彼女”は世界一のスナイパーとして、その右目であらゆる敵を葬ってきた。


ウィドウメイカーに右目を撃ち抜かれ、死んだものと思われていたオーバーウォッチ副司令アナ・アマリ。
しかし、彼女はハワイの病院で目を覚ました。
=>アナの前回の話は6-2参照
=>オーバーウォッチ講座:オーバウォッチの歴史、ストーリー その6-1 死にゆくもの去りゆくもの - citrussinのチラシの裏


気がついた彼女を待っていたのは、自分の隊が全滅した記憶、撃てなかった後悔、そして自らも死んだことになっている現状だった。
ある意味都合が良かった。
もはや戦いの眼は破壊され、彼女の闘争は終わったのだから。
ジャニナ・コワルツカという偽名を使い、彼女は戦闘に明け暮れてきたこれまでの生活を省み、目の前で激化しつつある紛争には関与しないことを決意する。
深手を負ってボロボロだった体が完全に回復し、動けるようになる頃にはオーバーウォッチは解体されていた。


しかし、時が経ち、やがて彼女も理解する。
故郷や身のまわりの人々が危険にさらされているのに、手をこまねいたままではいられないと。
彼女の娘ファリーハ(ファラ)に手紙を送った後、世界一のスナイパーは再び戦場に戻った。
手にはかつてDr.ジーグラー(マーシー)とトールビョーンが作った”人を癒やす武器”Bioticライフル。
ジーグラーは考えもしなかったが、人を癒やすということはうまく使えば敵を害す事もできる。


「私にはまだ守らなければいけない者たちがいる」
こうしてアナ・アマリは残った左目を見開き再び戦いに身を投じる。
祖国を脅かす力と戦うために。そして何よりも、家族と愛する人々を守るために。
エジプトで、ホルスの左目のことはウジャトの眼(プロビデンスの目とも)と呼ばれている。
その眼は「癒し・修復・再生」の象徴と伝えられている。


アナ・アマリ


アナのストーリーは公式ムービー出てます。
www.youtube.com



アナとファラはともにホルスのタトゥーを目元にほっていますが、位置が違います。
アナは左目にタトゥーを入れてます。
すなわちウィジャトの眼であり、彼女がヒーラーである証左です。

  • 若い頃

ウィジャトの眼ヤング

  • 今のおばあちゃん

ウィジャトの眼オールド

一方ファラは右目にタトゥー。
すなわちDPSたる彼女は、敵を滅するというラーの眼を持っていることになります。
ラーの眼



正義を求めるガンマンの話

かつて、アメリカのメインストリートを拠点に悪名高いデッドロック・ギャングで犯罪行為に手を染めるガンマンがいた。
彼はそのとき悪党で、そしてオーバーウォッチに捕まった。
それからは、ブラックウォッチとしてレイエスのもとで”誰かが決めた”大義を行った。
しかしオーバーウォッチでの生活は、彼に自らの正義をもたらした。
自らの過去の罪に、彼は彼の正義のもと贖罪を行う決意をしたのだ。

オーバーウォッチの影響力が弱まり、レイエスとモリソンの間の亀裂が深まると、ブラックウォッチ内の反乱分子が中から組織を壊滅させようと暗躍を始めた。
しかしそんなのはジェシー・マクリーの正義ではない。
内輪もめに関わりたくなかったマクリーは組織を去り、彼らとの連絡を絶って地下世界に潜った。


数年後、オーバーウォッチのいない世界で、彼は雇われのガンスリンガーとして再び表の世界に現れる。
さまざまな組織がマクリーの腕に目を付けているが、彼が戦うのは己の大義のためだけだ。


ブラックウォッチの残党や様々なテロ組織に狙われる孤高のガンマン。
愛用のリボルバー“ピースキーパー”を手に、ジェシー・マクリーは彼の法で裁きを下す。



ブラックウォッチの残党はタロンと共同して多くの違法行為に手を染めており、その他数多の企業が搾取のために破壊活動を繰り返していますが、報道されることは殆どありません。
というのも、世界のマスコミはその多くを「マクリーとソルジャー76の破壊活動だ」と報道しているため。
(他にもジャンクラットのせいにしたり)

例えばWebコミックTrain Hopperでは、マクリーは米国西部からヒューストンまでの電車に秘密裏に乗って旅をしており、そこにタロンのエージェント(元ブラックウォッチ)が列車をハイジャックするストーリーが描かれています。
その際仕方なくマクリーは乗客を守るために彼らと戦い、タロンが電車から奪おうとした”何か”を発見するのですが、世界中の報道機関はその事件を「凶悪な強盗ジェシー・マクリーが電車を襲撃した」と報じています。

Webコミックはこちらからどうぞ。
Blizzard | Overwatch Comic








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