では第四回も引き続き書いていきたいと思います。
前回
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はクライシス後のオーバーウォッチ黄金期のお話をしました。
今回は黄金期の後半。
まずはオーバーウォッチの闇を取り仕切る組織ブラックウォッチの黄金期
2018/05/22 記事大幅改定
故郷を裏切った忍者の話
シマダ家のお家事情と兄弟の死闘
前回の話はその3参照
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東方の国日本。
そこに桜が美しく咲き誇る城下町”HANAMURA(花村)”がある。
一見するとただの観光名所だが、しかし花村には人に知られていない秘密がある。
そこはスパイや暗殺のスペシャリストとして何百年も続いてきた暗殺集団の本拠地。
忍者一家シマダ一族の町だった。(英語では忍者集団シマダ帝国となってます)
- 島田城と寺院
スパイに暗殺、違法物品の取引まで手がける犯罪帝国は、しかしとある問題に頭を抱えていた。
親が子煩悩だったのが悪いのか、それとも育て方がいけなかったのか。
頭領一家の大事な跡継ぎ、その末っ子がドラ息子そのままに生きているのだ。
名はゲンジ。
暗殺一家の次期頭領と目される優秀な兄を尻目に、25歳にもなって一切仕事をせず、親のスネを齧りながら日がな女遊びにうつつを抜かす。
彼は今まさにニート生活を最大限謳歌していた。
そんな彼に一族の人々は不安で仕方がない。よりにもよって頭領の息子が自分たちの家業に一切かかわらないのだ。
よりたちが悪いことに、父親にして一族の頭領シマダ・ソージローはそんな自由な彼を「スパロー(雀)」と呼んで慈しんでいた。
跡取りには優秀な兄がいて、兄弟の仲も良好。
父親としては、息子たちを縛り付けず自由に生きてほしかったのかもしれない。
しかしより厄介なことに、遊んでばかりなのにゲンジは実力者でもあった。
忍びの腕にも長けており、シマダ一族の秘伝である龍の力さえ操る。
そんなドラ息子な上にお家騒動において核爆弾なみの立場を持ちながら、全く一族のことを試みようとしないゲンジを、一族の者は「大変なことになる前に、彼をなんとかするべきだ」と思っていた。
当然、暗殺してしまおうとする血気盛んな集団も少なからずいる。
暴走しなかったのは、頭領のソージロー本人が彼をかばっていたからにほかならない。
- 若かりし頃のハンゾー(左)とゲンジ(右)
- ”現在”のゲンジの拠点にはかつて二人で撮った写真が。。。
しかし、そんな日々も終わりを告げる。
クライシス終結から約10年。ゲンジが25歳(ぐらい)の時。
オーバーウォッチが最盛期を迎えていた頃、シマダ・ソージローが突如亡くなったのだ。
突然すぎる頭領の死と、息をつく間もない次期頭領シマダ・ハンゾーの誕生。
それは兄弟の強い結束にヒビを入れる。
若いハンゾーに対し、一族は弟のゲンジへの説得をより強く願った。
兄ハンゾーも、弟に以前よりももっと重要な役割を果たすことを要求する。
しかしこれをゲンジは固辞。
(仕事をせずニートを続けたかったのか、そんなに暗殺家業が嫌だったのか。多分どっちもだと思われる)
若き新頭領ハンゾーも、そんな勝手をする弟をかばうことはできない。
一族の長老たちはハンゾーにわがままな弟を諭し、二人で力を合わせ一族を纏めるよう命じたが、二人の話し合いは平行線を辿る。
暗殺家業への貢献を求めるハンゾーと、そんな仕事は御免こうむると断り続けるゲンジ。
二人の争いは、やがて血みどろの決闘へと発展した。
共に忍者の腕を極めた者同士の決闘。
凄まじい争いは、しかし最後は兄が弟を殺すという結末で幕を閉じた。
(ゲンジの死体は確認していない。多分HANAMURAのB拠点そばの川に落ちた)
- 血と斬撃に塗られた掛け軸。前には弟ゲンジの形見である刀。
一族の恥は注いだ。頭領としてはそれでよかったはずだ。
しかし、”兄”としては?
仕方なかったとは言え、愛する弟をその手にかけたハンゾーは己を許せなかった。
この事件で心に深い傷を負ったハンゾーは、父の跡を継ぐこと、すなわちシマダ一族を率いることを拒否した。
つまりはこれまで築いてきたすべてを捨て去り、抜け忍になることを決めたのだ。
一族を、故郷を、守るべきすべてを捨てた彼は戦士としての腕を磨くために世界を渡り歩く旅に出る。
ハンゾーの望みは名誉の回復と、死者への弔いだ。
「死には名誉が、そして名誉には救いが伴わなければならない。ならば、弟の死に何の名誉があったのか。弟はいかなる救いを得られたのか」
最愛の弟を手に掛け、故郷を捨てたハンゾー。
しかし、彼はどんなことがあっても毎年弟の命日に島田城を訪れ、彼が殺した最愛の弟の喪に服す。
流れ着いた天才忍者
自らの兄、ハンゾーの手にかかりあと少しで父のもとに旅立とうとするその体。
しかし、ゲンジは九死に一生を得る。
川を流れるそのボロボロの体をオーバーウォッチのメンバーが見つけたのだ。
死の淵をさまよう彼はすぐさまDr.ジーグラー(マーシー)のもとに送られる。
クライシス後約10年に渡りシマダ一族と戦い続けていたオーバーウォッチはシマダの強さに打開策を見つけられずにいた。
そして、そんな折に降って湧いた「シマダの技術を全て体得した天才忍者シマダ・ゲンジ」
オーバーウォッチは彼の登場に希望を見出したのだ。
生死の境にあったゲンジは2つの選択を迫られる。
”このまま死ぬか”、”オーバーウォッチのメンバーとして一族と戦うか”
ーーーーーそして彼は、一族と戦う道を選んだ。
サイボーグ・ゲンジ
命と引き換えに故郷と戦うことを選んだシマダ・ゲンジ。
トールビョーンとマーシーの手によるサーイボーグ化手術を受け、死に体だった彼は新たな生を受ける。
そして、サイボーグ技術は忍者シマダ・ゲンジに更なる力を与えた。
再生した肉体は機械と同化し、シマダ秘伝の技術を受け継いだ超人的な身体能力は機械の力でさらなるブーストを得る。
自ら体得した数々の忍術はより強力なものになり、その姿はまさに生きる兵器と化したのだ。
場合によっては人を殺す。暗殺と偵察、そして強襲の達人。
彼は闇の側ブラックウォッチの一員として、そして時にはオーバーウォッチのヒーローとして、シマダ一族との抗争を繰り広げることになる。
モイラ・オデオレインという学者
人類の進化を求めたマッド・サイエンティスト
”人”という創造の神秘を解く鍵は科学にある。
その答えを知れば、人類の真の力を引き出すことができる。しかし、オーバーウォッチは科学の発展を何十年もの間妨げてきたのだーーーー
モイラ・オデオレイン。
天才と呼ばれ、異端と罵られ、そして研究を闇に葬られた遺伝子学者がいる。
アイルランドの首都ダブリンで育った彼女は科学の発展のためなら手段を選ばない。
あらゆる手段を尽くして「人間の改良」に心血を注ぎ続けてきた。
オーバーウォッチ黎明期、オデオレインは「遺伝子改良プログラムの基礎理論」を発表した。
それは、DNAの書き換えを細胞レベルで可能にし、人を司る”設計”を書き換える技術。
あらゆる病気を克服し、人間の新たな可能性を引き出す可能性を秘める、遺伝子学上の大発見である。
学会に大きな波紋を呼び、様々な分野からの期待を集めたその研究は、しかし多くの手によって潰された。
この研究は禁忌だった。「人の手による人間の改造」を意味したのだ。
非人道的だと、倫理に反すると異論が上がった。
オムニック・クライシスの二の舞いになると非難された。
あろうことか「オデオラインは新たな戦火を招く危険人物」とまで口々に彼女は罵られた。
更には他の遺伝子学者たちは彼女の理論の再現に失敗し、「この理論は虚偽のものだと」訴えた。
彼女の基礎理論自体が疑問視されるようになり、支援者も潰える。
特にオーバーウォッチはこの過激な理論に過敏に反応し、あらゆる手でこの研究を闇に葬ろうとした。
彼女は、表社会から姿を消さざるを得なくなったのだ。
- オリジンPVより
しかし、オデオレインは諦めなかった。
わたしは人類の進化の謎に生涯を捧げてきた。
他の者ならばためらうであろうことも平気で冒してきた。
手段を問う必要がどこにある?
倫理など犬の餌にもならない。
そして、おなじく手段を問わない集団がいた。
彼らは手を取り合った。
ブラックウォッチはその日、大いなる力を手に入れたのだ。
ーーーー禁忌と引き換えに。
- オリジンPVより
- 写真に写ってるので、モイラ参加はゲンジ参加のすぐ後あたりだと思われます。
モイラのオリジンストーリーPVはこちら。
新キャラ予定をされているモイラの魅力がわかる必見PV。参戦に備えてチェックしておきましょう
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レイエスのオデオレイン実験
モイラという危険人物を内に抱え込み、人体実験を行うことをガブリエル・レイエスはオーバーウォッチ司令であるジャック・モリソンへ報告せず秘匿していた。
報告したところで反対されるのは目に見えていたからだ。
たとえ自らが人外の化け物になろうとも、彼は力を欲した。
密かにブラックウォッチに参戦したモイラ・オデオレインは研究の絶頂期を迎える。
ブラックウォッチとオーバーウォッチの一部しか、彼女がここにいることを知らない。
彼女を擁したことは、オーバーウォッチの極秘事項となった。
もはや誰にはばかることもない。
何の足かせもない。
法や道徳、恐怖によって誰も手を出せなかった大いなる科学を実現できる。
一切の倫理理念から解き放たれた彼女は、様々な技術を開発し、ブラックウォッチのために新しい武器やテクノロジーを供給し続け、様々な非合法実験を繰り返し続けた。
ただただ科学の発展と、真理の追求のために。
モイラ・オデオレインの探求は何を犠牲にしても終わらない。
数々の「自分自身を使った」人体実験の末に右腕は黒く変質し、彼女の体は闇に溶けるようになる。
そして、彼女の理論は実を結んだ。
むすんでしまったのだ。
元アメリカ軍幹部、スーパーソルジャー計画の成功例、そして初代オーバーウォッチを率いた超人。
その日、ブラックウォッチ司令:ガブリエル・レイエスはモイラ・オデオレインによって超人から化物に”進化”した。
オデオレインの理論を駆使した最終実験は、彼に超人間的能力を与えた。
細胞を過度に加速した速度で再生と崩壊を繰り返し、傷は一瞬で治り、体は闇に溶け込むように消える。
そして、近くにいる敵の生命力を吸い自らの糧とする、人外の能力。
理論の成功を手にしたモイラはブラックウォッチの面々を改造し、ブラックウォッチは大いなる力を手に入れた。
しかしそれは、レイエスの絶望の始まりだったとも言える。
注:
モイラは別に”悪の科学者”ではありません。全ての平和や紛争や世界征服なんて物に興味がなく、ただただ科学の発展のみを追い求める”狂気の科学者”です。
エフィやトールビョーン、マーシーと違い、彼女は自分の発明が誰にどう使われようと気にすることはなく、自身の非倫理的研究さえ後援してもらえれば誰が上司でも何が目的でも、その結果がどうなっても頓着しないだけです。
燻る火種
ブラックウォッチは暗殺のエキスパートと、医療科学のエキスパートを手中に収めた。
これによりブラックウォッチは今まで以上に様々な極秘任務を達成することとなる。
が、彼らの作戦内容は違法行為を含む強引な手段を用いたものであり、多くの権力者がオーバーウォッチを危険視するきっかけとなった。
また断定はできないが、暗殺組織タロンや”奴ら”の手がオーバーウォッチに伸びていた形跡が認められる。
なんとかオーバーウォッチ活動を掌握しようとするオーバーウォッチ上層部や、世界中で利権闘争に明け暮れる国家、世界企業、未知の権力者、そしてタロン。
様々な者たちが「オーバーウォッチを利用してよう」と暗躍した結果、ジャックとガブリエルの関係は次第に悪化し、そしてオーバーウォッチは世界中に少なからぬ敵を作っていくーーーーー
少なくとも、ここから始まるブラックウォッチの暴走と、レイエスとジャックの関係悪化からオーバーウォッチの凋落が始まった。
これは「正義でいよう」とした者たちが、「正しさのために」壊れてしまった物語なのである。
以上。
次回は4-2。
オーバーウォッチ凋落のきっかけである「オスロ爆破事件」と「ヴェネチア騒動」を書きたいと思います。
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