citrussinのチラシの裏

ゲームや読書感想、日々のことを適当につづる日記。TwitterID @sinensis197

ゆずソフト渾身の現代和風怪奇譚「千恋*万花」(せんれんばんか)。非常に丁寧に作られた呪いと神様の良作怪奇譚。クリアしたので感想

萌えゲーアワード2016年準大賞。
現在キャラ萌えエロゲのTOPを走るブランド:ゆずソフトの去年作品。

「千恋*万花」(せんれんばんか)
千恋*万花


「千変万化」に心と草花を添えた形ですね。(変=>恋、化=>花)
その名の通り、最初に語られた事実やおとぎ話がたやすく覆され、「呪いと祈り」の真実が"千変万化"に変わっていく様は見事でした。
もちろん恋の姿が千変に変わっていき、ヒロインの魅力が万花に咲き誇るキャラゲーでもあります。
前回(サノバウィッチ)でも言いましたが、マジでストーリーに力入れてきてますね。
謎に満ち、多くの人間が苦心と挫折の末に散っていた「穂織の呪い」を魅力的なヒロインや親友、そして頼りになる大人たちとともに解決していく物語です。


積みゲー崩してクリアしたので感想記事となります。



=>前回「サノバウィッチ」
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R18ゲーなので、良い子はおとなになってから買おうね!
お兄さんとの約束だよ。

注:この記事は「 サノバウィッチ」の致命的でないレベルのネタバレを含みます

あらすじ

神刀とともに鬼たちを祓い、しかし鬼の呪いにより「呪われた土地」として周囲の村々から迫害され孤立した、山奥の田舎町「穂織(ほおり)」
しかし、穂織の民たちが持つ独立独歩の精神が山奥の町に独自文化を花開かせ、今では有名な温泉地。
周囲の村々の老人たちは「犬憑きが」と口さがない悪口や嫌がらせを行うがなんのその。
そもそも、観光客はそんな迷信気にしない。
海外のリピーターを取り込んで、田舎町としては結構な賑わいを見せていた。
温泉宿や独自発展したオリエンタル文化、未だ残る戦国時代の名残の数々に魅了された観光客は今日も穂織に訪れる。
さらに、穂織のもうひとつの名物として、岩に突き刺さった神刀「叢雨丸」があった。
「誰にも抜くことが出来ぬ、岩に刺さった神刀」
鬼を払いし現代に残る穂織の証「叢雨丸」
岩に刺さった刀をどうにか抜こうと境内は大勢の観光客でごった返す、「叢雨丸」は穂織の一大イベントだ。


ところが、夏休みに祖父の手伝いに来ていた主人公有地将臣は、あろうことかその刀をへし折ってしまう!!
誰にも抜けぬ、誰にも侵されぬはずの神刀を折った彼に降された沙汰は、なんと!
”穂織の姫巫女”朝武芳乃との結婚だった。
急な結婚話に戸惑う彼に明かされる、現代にも残る「死につながる穂織の呪い」と叢雨丸の本当の役目。
穂織の姫に、姫を守る女忍者。
叢雨丸の管理者を名乗る幽霊幼女に、外国からの留学生。
様々な出会いを巻き込みながら有地将臣の生活は一変することとなる。

穂織を縛る呪いの秘密とは一体何なのか。
そして、出会った恋の行方や如何に。



ゆずソフトが送る現代和風怪奇譚!
全ては叢雨丸を掴んだその手の中にーーーーー


ゆずソフトってなーに

前回見てくだせぇ

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一言で言うと、
すっごい可愛い女の子たちと、イチャイチャしながら問題を解決していく「ストーリー系キャラ萌えゲー」を10年作り続けている生粋のギャルゲーブランドです。

ジト目が( ・∀・)イイ!!

ジト目(立ち絵モード)

(シーンのセーブ撮り忘れたんで、泣く泣く立ち絵閲覧モードで)


こもわたSDも( ・∀・)イイ!!
こもわたSD


全体的な感想として、作内に感じたストーリー展開のジレンマについて

様々なところに張られた伏線、練り込まれた裏設定、呪いと妖刀と神様を見事に一本の筋に揃え合わせた物語はゆずソフト渾身のチャレンジでしょう。
非常に良く出来たストーリーで、各種クライマックスへの伏線の張り方と回収の仕方がいつも以上に気合が入ってます。

がしかし悲しいかな、美しく緻密な裏設定に対して情報の出し方が甘い。
特に大人側の事情。
「朝武家の苦悩」「穂織の孤立した歴史」「駒川家の焦燥」「穂織の大人たちがいままでどれだけ絶望し続けたか」
こういった情報が各所に小出しで語られており、全体としてはあまり伝わってきません。
なので、呪いをとくために子どもたち(主人公たち)を犠牲にしてもいいのかといった大人側の焦燥や、いざ呪いが解けた時の穂織関係者の抑えきれない歓喜が、読者には実感として湧きづらい点があります。
やはり、ココを読者に実感し主人公たちに感情移入させるためには、共通ルートでそこら辺の回想イベントを入れてほしかった。

もちろん随所で大人たち、特に玄十郎や安晴、駒川先生などが色々と語ってくれますし、芳乃やムラサメちゃんや茉子が都度に今までの苦難を仄めかしたりしますが、それらイベントが個別ルート側に分割されており単発ではぶつ切りに感じます。
共通ルートでは(情報が揃っていないため)イベントやシーンという形で語られることはあまりなく、結果「全ルートやって全体を眺めると見えてくる」感があります。


これは本当にもったい(´・ω・`)
特に見えた全体像が本当によく出来た怪奇譚ストーリーだったので、「もっと盛り上がれたんじゃないかな」と詮無いことを考えてしまいます。
いや、それでもサブ含め4キャラ攻略した次に訪れたレナルートではボロ泣きしたけど、もっともちゃんと語ってくれたらもっと別ルートでも盛り上がれたように思えてならない。
(そういう意味でも、やはり全キャラやるなら推奨攻略順は必要なんじゃないかなぁ)

あと、茉子ルートの終わり方。
レナルートの情報を出すまいとした結果、凄まじく消化不良な展開
コレも非常にもったいない。


正直、この作品。
ゆずソフトで最も「ストーリーに力を入れた」が、それが「裏目に出ている」。
でも仕方ないんです。
これはもはや「キャラ萌えゲー」のみを追求してきたメーカーの悲哀。
「雰囲気のいいキャラゲー」と「シリアスとカタルシスを狙うストーリー」の間にギャップが生まれジレンマに引っかかってしまっているのです。

キャラゲーは、「好きなキャラだけ攻略する人と、全キャラクリアする人両方に阿った作品」を作らねばならない。
しかし、
ストーリーゲーは、「全キャラ攻略を前提に各所に伏線を貼ることで、トゥルーエンドをグランドフィナーレに締める」ことを求められる。

これは、ほぼ矛盾する課題となります。

この千恋*万花では、

  • ストーリーに大量の伏線を布石し、謎を散りばめる
  • でも、好きなキャラだけクリアして納得できる内容という需要にも答える

という相反に挑戦したのが辛いところ。


非常に練られた設定が各所に見られるのに、それを象徴するエピソードがまとまりに欠けているように感じました。
単なるキャラゲーとしてならば、何の問題もなくプレイ可能なのですが、かしこに張られた「穂織の地の真実」の種明かしに驚愕を持って迎えるならば、結構な伏線拾いが必要になります。
その結果、下記の推奨攻略順で述べますが、ちゃんと読者側も別ルートの情報から意図を読み取らないと行けない入り組んだストーリー作りになってしまっていて。
それは間違いなく「よく練られたストーリー」を作った証ではあるのですが、逆に「キャラゲーとしてもストーリーゲーとしても中途半端」とも言えてしまう可能性を持ってしまったのです。


しかし。とは言えですよ。
面白いんです。
本当に、ちゃんと伏線を拾ってやれば、この「千恋*万花」。
非常によく出来ているんです
ともすればとっ散らかる「怪奇譚」という難しいジャンルにチャレンジしつつも、それらを「ただの奇跡」や「不思議な力」で終わらせずに、ちゃんとストーリー内にすべての因果を含めた。
怪奇を怪奇だけで終わらせない見事なストーリーテラー。
まさに懇親の一作といえる出来でした。
エピソードの足りなさは、「キャラごとにまたがる伏線を付けたくない」というキャラゲーのどうしようもない問題のせいであり、これを描写不足というのはあまりにも残酷すぎます。

とてもとても惜しい作品。
間違いなく良作。間違いなく名作。10年続けてきたゆずソフトの次なる挑戦なのです。

ただ、たしかに。
わかりやすさ、キャラゲーとしての質、物語の締め方。
キャラゲーとしての完成度は前作「サノバウィッチ」のほうが高かったです。
そういう意味でも、ストーリー作りへの挑戦として更に一歩進んだ作品ですね。


各キャラ別ルート雑感

まず言っておきたいのは、鬱要素はほぼないという点。
出て来る穂織の人々はみんな心優しく、主人公の周りは常に心地良い雰囲気が保たれています。
もちろん題材が題材であり、多くの絶望(作中のキャラから言わせると、延々と続く綱渡り)が今まである都合上、”のほほん”とはしていません。
ですが、嫌味なキャラや悪意が降りかかり続けるようなそういうエピソードはないです。
安心して楽しめる作品となってます。
そもそも、その絶望があるからこそ「ココまでこれたのには理由があったんだ」というレナ・リヒテナウアーEDの感動があるわけで。


悪役らしい悪役はほぼいない(過去の領主兄ぐらい?)ため、安心してプレイして問題ないです。
全キャラ凄まじいぐらいいい人たち。
温かい穂織の地に居住しましょう。


ところで前作にも増して中の人がデレスマス。劇場の収録が近かったせいかしら、前回よりもデレマス。
Pくん☆とか、恋のハンバーグとか、自分を曲げないよとか幻聴ががががが

推奨攻略順

この作品。
めちゃくちゃ情報の出し方が交錯します。
前回「サノバビッチ」とちがい、プレイした順序によってストーリーの出来への評価が180°ヒックリかえるかと思います。
気にいたキャラのみをプレイするならば何の問題もありませんが、全ストーリーを持って「穂織の地に課せられた呪いの真実とその結末」を読み解くならば、結構な読解力がいる内容となっていますので注意。

さて、ネタバラシルートを避けつつすべての伏線を回収し、「穂織の真実」に驚愕をもって出迎えるならば下記ルート順がまず最適化と思われます。

  • 最もおすすめする順番

朝武芳乃=>サブ二人=>ムラサメちゃん=>レナ・リヒテナウアー=>常陸茉子

または、(理由は後述)レナと茉子の順を入れ替えて

朝武芳乃=>サブ二人=>ムラサメちゃん=>常陸茉子=>レナ・リヒテナウアー

推奨攻略順理由
  1. この作品のグランドエンド、トゥルールートはレナルートです
    • すべての伏線(共通、芳乃、ムラサメルート)が、全てキレイに回収されます。
  2. 茉子ルートはレナルートで張られた伏線へのアンサールートであり、レナルートの大事な仕掛けについて、ネタバレとなってしまう事柄が幾つか出てきます
    • レナルートで明かされる驚愕の真実が「いやもう知ってますし。。。」となってしまいます。ちょっとよろしくない。
    • しかも茉子ルートでは、なんていうか、盛り上がらない形でバラされるのも痛い。
    • そういう意味でも、”あのギミック”のために茉子よりレナを先にプレイしたほうが楽しめると思うのです。
  3. ただし、レナルートにも茉子ルートの知識が必要な伏線回収が出てきます。
    • つまりレナを先にやる場合、ネタバレは防止できますがネタの完全回収は頭の中で回想しつつ自力で行うことになります。
    • 茉子ルート途中で「ああ、だからあのレナルートのシーンはああだったのか」となる感じ。
  4. 朝武芳乃は「共通ルートだけの知識ですべてを理解できる」ルートであり、共通ルートから入るのが最も自然なルートとなっています。
    • このキャラだけ「呪いの真実」よりも「朝武の家督争い」が重視されているため。
  5. ムラサメちゃんルートは、レナルートの伏線を含み、レナルートはムラサメちゃんルートの伏線を含みます。
    • 基本的に殆どのムラサメちゃんルート伏線がレナルートで回収されますが、一つだけレナルートでの真実によってムラサメちゃんEDの真意がわかる形となっています。
  6. レナルートとムラサメちゃんルートの終わり方が全回収としてはキレイです。レナルートはすべての因果の解決。ムラサメちゃんは叢雨丸を使った別ルートからの解決を行います。
    • 特に茉子は、レナルートより先にプレイしたプレイヤーへの配慮から、物凄く不完全燃焼な終わり方をしています。
  7. サブ二人を先にやっておくと、ムラサメちゃんルートがわかりやすくなります。
  8. サブ二人はメイン4人の誰か一人をクリアしたらルート解放


上記理由からルート構築した説明
1,2,3から、「その他=>レナ=>茉子」順が最も自然に伏線回収を楽しめると考えられます。
(「そうだったのか!」が「いや、もう知っているし。。。」に代わるのは避けたいし、問を聞いてないのにアンサールートを先にやるのも流れがキレイじゃない。)
ただ、そのために流れの綺麗さを犠牲にすることとなる。
一応レナルートから即、茉子ルートを回収することで脳内で「あ、なるほど」という納得は確保可能といえば可能ですが。
4から、共通ルートから入る1番目のキャラは朝武芳乃が一番無難。朝武家の云々がわかっていたほうがその後のルートを楽しめるのも重要。
5,6,7,8から、レナルート基準に考えた場合、芳乃=>サブ2人=>ムラサメ=>(茉子)=>レナの流れが一番キレイな流れになる。

よって、
朝武芳乃=>(サブ二人)=>ムラサメちゃん=>レナ・リヒテナウアーでグランドを迎えたあと、エクストラエピソードとして、「レナルートでの”彼女”の最後のお願い」に答える形で茉子ルートで”彼”を助けてあげるのが美しい伏線回収の流れかと。
ただし、こっちは流れがちょい悪いです。



特に、6番に書いたように茉子ルートはなんというか、かなり不完全燃焼に終わります
もちろん茉子は可愛い!!
ですが、間違いなくグランドエンドとしてきれいな終わり方をしているのは「レナ」のルート。
ネタバラシが中途半端で不完全燃焼に終わった茉子ルートを完全に解きほぐすトゥルーエンドです。
レナルート後の茉子ルートはよく言えばエクストラエピソードっぽい話なんですよねー。
すべてを知った後のファンサービスストーリーというか。
本題が終わった後のこぼれ話というか。
ストーリーのメインも呪いより「茉子ってかわいいよね!」という意味でよく出来た話が展開されます。


ということで、張られた伏線回収によるどんでん返しを楽しみたい人、順を迷っている多くの人へのおすすめ順は
朝武芳乃=>サブ二人=>ムラサメちゃん=>レナ・リヒテナウアー=>常陸茉子

ただし、

  • 段階的にちょっとづつネタバラシされて、極力わかりやすい形で物語を解きほぐしたい人
  • 大盛り上がりのままゲームをアンインストールしたい人


朝武芳乃=>サブ二人=>ムラサメちゃん=>常陸茉子=>レナ・リヒテナウアー
と結論づけました。
後者についても、バラされるのは呪いの本体のエピソードの一部だけですし。
ネタバレ・・・とはいいましたが段階的にレナルートへの伏線をちょっとづつ回収していっている、と捉えるのが自然でしょう。
最終章への布石、と考えればよりこの怪奇譚がわかりやすい形で頭に入る・・・とも言えます。
極力グランドフィナーレでゲームを終えたいと求めるならばこちらも悪くはありません。


もしムラサメちゃんを最後に持ってきたい場合

ムラサメちゃんもグランドエンドとして悪くないといいました。
もしムラサメちゃんのルートを最後に持って来たい場合、下記のようなルートになるのかなと思います。

  • 穂織の神様の物語重視の並び

朝武芳乃=>常陸茉子=>レナ・リヒテナウアー=>サブ二人=>ムラサメちゃん


レナや茉子本命の場合はおすすめ順(か、レナと茉子を入れ替えた第二案)がいいと思うのですが、ムラサメちゃん本命の方はこっちのルートでもいいかと思います。



そう考えると、今作では芳乃さまが不遇やね(´・ω・`)
まぁ、芳乃さまだけは呪いの根幹に一切触れないからねー。
そういう意味でも間違いなく共通から最初に入るルートとして不動なんだけどね・・・・
(そういや声優さんも、前回の不動である因幡めぐるとおなじ遥そらさんですね)

もちろん、誰か一キャラだけというひとは迷わずそのキャラへGO。
イチャイチャの巧みさはさすがのゆずソフト。

共通

祖父の手伝いに来た主人公が叢雨の”持ち手”となり、呪いに関わる4人のヒロインと出会いながら「穂織への親しみ」を覚えていく前半と、呪いの表層たる祟り神との闘いの中で「欠片」を集め、一旦の呪い終息を行う中盤を語るストーリーです。
グランドルートであるレナルート以外は、「欠片」を集め一旦区切りをつけたところでルートが分岐します。
各キャラルートでは、ヒロインと付き合いが深まることによって明らかになった「終息したはずの呪いや祈りの真の姿」から本当の解決を目指していく話になります。


チャプター1からジト目のお出迎えがあるのでとてもとても嬉しい。
キャラごとの魅力という意味でもすっごくいい。特にポンコツ芳乃さま。
相手を気遣った上での素直になれなさとか、張り詰めているのにどこか抜けているところとか、DOGEZAとか
あと忍者のエロ衣装も見どころです。もうルート入る頃には見慣れてしまいますが(´・ω・`)。ルートでは新しい衣装が登場するのでそれも( ・∀・)イイ!!
呪いの怖さ、山での孤立無援感も怪奇譚してていいですね。
女の子のために刀を取り、嫌煙していたじっちゃんの修行を再開する有地さんが男気よくて素敵。

そうなのよ。主人公の有地さんが、癖がなく好青年で男気が有り、うじうじせず嫌味がありませんが、弱点も持つ。いい意味で凡庸な普通の男の子なのです。
とても重要な事です。このキャラ作り、マジで色んなところに見習ってほしい。
加えて親友キャラもイケメンだけど、納得行く理由により主人公のライバルにはならず、頼れるキャラで、三枚目。
美しいまでの職人芸。
そして、頼れる大人たち。
居候になる家の大黒柱朝武安晴さんの懐深さと、娘を思いながらも主人公を気遣える心意気。
祖父玄十郎さんの頼れすぎるぐらい頼れる背中と、それでも果たせない穂織の呪いへの忸怩。
駒川先生の安心感と、見守ってくれる大人感。
ストーリーを回す上で大切な、「大人がちゃんと大人をしている」ということをしっかりきっちり守っています。

前回も言いましたが、「総じて、ゆずソフトは非常にキャラ作りが上手い」本当に。

さて、共通終了時には呪いが一旦終息することで「穂織にとどまらなくてはいけない理由」と「婚約者を装わなくてはいけない理由」が喪失し、主人公が改めて自分の立ち位置を確認しつつ恋にも目を向けられるようになりまして個別ルートとなります。
個人的には好ましいですね。
宙ぶらりんのままではなく、ちゃんと一つづつ問題を解決していくキャラたちの姿勢に好感が持てるようになっています。
もやもや感を残さない脚本はスムーズに心のなかに入ってきます。

矛盾なく、安定したシナリオ。
すべてのヒロインが可愛い上に、十分に用意されたイチャラブシーン。
各キャラクターに嫌味がなく、ヘイトを受けることもない。
流石の一言ですね。



あとOPもEDもアニメ使ってて各キャラごとにEDの歌も動画も変わってて気合入ってます。

朝武芳乃

朝武芳乃
清楚クールを装った(装えてない)ポンコツ。綾地さんからの系譜。真面目バカ。デレたらダダ甘


銀髪はポンコツでないといけないのかという疑問。燦然と輝くアホ毛が眩しい。
綾地さんも銀髪でしたね。
個別ルートに入る前から「助け合う相棒」「婚約者」という立場であり、他キャラのルートではそれこそ「有地さんは命を預け合う戦友」との認識を示します。
最初の最初こそ「無関係な人を呪いに巻き込まない」ために表面上冷たいですが、すぐにぼろが出るわ、土下座するわ、ソース醤油戦争で争うわ。
仮面は全く用をなさなくなります。
かわいい。
とてもかわいい。

  • 土下座する姿は清々しいほどのポンコツ

ポンコツ土下座

ルートのコンセプトは「呪いによってすれ違った家族の絆の再確認」「”穂織の姫”からただの”芳乃”へ」
本題は「朝武家への呪いとの闘い」「朝武の女が早死にするという呪いへの解決」。
穂織の大本には何の話も展開せず、「朝武の家督闘いに負けて逆恨みをした呪い実行者との闘い」となります。

芳乃ルートに入ると、婚約者問題を置いておいて恋人関係に入りイチャラブの日々。晴れて本当の婚約者になります。
平和なイチャイチャストーリーから、「朝武家の女は早死にする」という呪い効果の再発と、「死んでしまった芳乃の母親」を絡めた呪いへの対決となります。
そして解決した後もイチャラブ。
多分最も大半をイチャラブに回したルートじゃないかなぁ。
恋人同士の甘酸っぱさにおっちゃん悶え苦しんでしまいましたよ。
まぁ、芳乃はずっと呪いに苦しんできたわけですし、メインルートこう言う幸せなストーリーのほうがいいよね。


家族の温かさ。友達の温かさ。そして母の温かさを再確認していく話が展開され、穂織の中でも最も呪いに晒され、子供時代も青春時代も呪いへ捧げた芳乃が救われる話となります。
そして、それは当然、そんな娘の幸せを願い続けた父、安晴さんの満願成就をなす話ともいえます。
朝武の家があったけぇ。そして主人公がまじで主人公しててイケメン。
ただし、その後のヒロインポンコツ化に伴い主人公もポンコツ化していきます。
というか、この有地さん。惚れた女の子の状態に流されまくるんだよね。
オーバーリアクション有地さん(レナルート)といい、ロリコン有地さん(ムラサメルート)といい。


さて、呪いと並行し呪いが解決した後にも続くのは「対人経験値が皆無なポンコツ姫の奮闘恋物語」
真面目をこじらせまくっていた”穂織の姫”が、恋する一人の女の子となり(そしてポンコツ化が加速する)話となります。
幼刀「初夜という儀式には正装で座礼して挑まねばならぬ!!」<=この顛末大好き。


エンディングも非常に美しくまとまっており、まさに「いやまぁそれしか無いよね」と。
わかってはいても、予定調和でも、ああやっぱいいよな。こういうハッピーエンドって。
呪いの重苦しさに愛と勇気とポンコツで戦う物語でした。
そして他のルートを読んだ今ならわかる、ギリギリで面倒事を回避し続け寝た子を起こさなかったストーリー。
そう考えると、アノバカ長男もいいことしたよね。あいつのお陰で寝た子が寝たままだったんだし。


ちなみに各キャラアフターの中で一番ビビッときたアフターでした(私信)
踏めばわかるさ






鞍馬小春&馬庭芦花

小春&芦花

サブルートです。
呪いは何の問題もなく払われ、最初の目的である「祖父の宿を手伝う」ため戦友たる朝武の家をでて温泉宿の方に拠点を移し、その後芦花の甘味処にバイトとして入るストーリー。
コンセプトは「昔からの馴染みである二人との三角関係」
解決すべきは「甘味処”田心屋”の今後」
昔なじみな2人と甘味処を盛り立てていくストーリーです。

途中から(まぁ小春は共通の最初から)関係性が三角関係になり、主人公がどちらを選ぶかの選択肢とともに2ルートに別れます。

双方とも特殊EDもアフターストーリーも用意されており、ゆずソフトの心配りに感激します。

鞍馬小春

憧れのお兄ちゃんと食いしん坊妹の恋物語。または、主人公目線から言うと親友の妹との恋。
妹ですよ妹!
それだけで救われる人がいる。

守る対象のようで、実は芯がしっかりしたおしゃまな子。
いち早く芦花の脆さに気づいて、三角関係を支えた機転に惚れ惚れします。

ストーリーとしても「美味しく食べている君の笑顔が見たい」という昨今にわかりやすい展開。
自分の作ったせんべいを食べる妹キャラの可愛さに癒やされましょう。
ハムスターみたい。。。


個人的には親友である廉太郎との関係も掘り下げてほしかったかなぁ。
「親友の妹」というのは中々無視できないジャンルではなかろうか。
とは言えサブはサブ。
ちょっと尺が足りなかった感。


馬庭芦花

憧れのお姉さんが年下の男の子にガチ恋しちゃう話。
泣きぼくろと、ちょっとした時に見せる脆さが色気につながるTHEお姉さんです。

ジト目、猫口(ω)、年上&耳年増&実は恋愛経験なし&お姉さんぶっちゃうアトモスフィア。
最高ですね。
控えめに言っても最高ですね。

そう言えばメイン4人に年上いないですね。
レナさんか茉子が1個上でもよかった気がする。

頑固一徹な父と闘いつつ田心屋を発展させる物語。
その中で、お父さんに認めてもらうために頑張る娘の話となります。

ヒロイン中唯一主人公より年上(のじゃロリを除く)のため、普段は大人として一歩引こうとしますが、実際は寂しがりやで頑張り屋な女の子というのが良かったです。
弟みたいな存在と思っていた主人公のちらりと魅せた男らしさにハッとさせられ、そのまま即落ちちゃうところがかわいい。
もらった花を飾ったりしてね。

ある意味妹分の小春より脆いお姉さん。
彼女を支えてあげたいと思うのは当たり前だと思いました。


ムラサメ

ムラサメ
幼刀。のじゃロリ。一人ぼっちの女の子。

管理者という霊体となり、話せる者はわずか。触れるものは皆無。
ずっと一人だった女の子が、呪いの集結とともに決意する物語です。

コンセプトは「一人ぼっちの女の子を救う話」「失った家族と新たな家族」
呪いの本題は「叢雨丸と人柱」「500年に渡るの咎の精算」


叢雨丸が折られたことで穂織が失った貴重な「観光資源」を復興させるために観光振興計画が起こり、それに並行してムラサメちゃんの始まりが語られる物語です。
もともと観光客でごった返してた理由の一つが「抜けない神刀イベント」だったわけで、叢雨丸がなくなったことで経済的打撃を受けましたよという話。
他のルートでは意図して語られない「穂織のモノカルチャー経済の危うさ」を中心に、ムラサメちゃんの決断を問う物語となっています。

ずっと人に触れるぬくもりも知らず、食べ物も食べれず、苦難にあえぐ穂織の民を見続けた少女を救う話。
ムラサメちゃんの苦難と孤独の歴史は非常に長いものがあります。
だからこそ触れてくれた「ご主人」に惹かれていく。
丁寧に「一人ぼっちの女の子の手を取る話」が展開されていきます。


とはいえ、ちょい「観光資源の解決」は残念かなぁ。
いやさ、ムラサメちゃんの物語としてはコレで満点なんでいいんですが。
穂織はもはや「叢雨丸を中心としたモノカルチャー経済と心中する」と決まったわけですね。


上で書きましたがEDが非常にきれいに終わっています。奉納イベント超盛り上がりました。
レナとは違う形で「完全解決」に持っていったルート。
ただし、最後の「叢雨丸のセリフ」の真意はレナルートでひっくり返されます。
そこも含めて二段落ちとしても楽しめる。
ムラサメルートで穂織の危うさを知っていれば、レナルートの鉄道計画の重要性もよくよく理解できる構図となっているというのもポイント。



ムラサメちゃんの独特の魅力は中々言葉にするのが難しいですね。
マスコットキャラ、ギャグキャラ、相棒、一歩引いた穂織の守護者、きじょーい☆
どれも正しくありません。
彼女ははじめこそ「のじゃロリ」であり「ロリババア」系統のジャンル的魅力を見せますが、本質は「孤独な少女」だと思います。
胸に空いた大きな穴を、他人に見せないように食いしばりながら、咎のもと親愛のもとで穂織全体を慈しんだ”ただの女の子”です。
だからこそ、有地くんの、ある意味独善的なまでのあの訴えが。
自分と幸せになって欲しいというどこまでも身勝手な叫びが、二人の出会いと絆を象徴するように思えます。
幼くありながら、どこかコケティッシュな。
マスコットでありながら、どこか放ってはおけない。
そんな、たった一人の女の子を幸せにするための物語。
彼女を中心とした新しい家族の形が、どこまでもムラサメちゃんの幸せにつながるといいなと。






レナ・リヒテナウアー

レナ・リヒテナウアー
超母性キャラクター。最強のバカップル。千恋*万花の全伏線を回収するグランドルート。


呪いのキーパーソンです。
穂織の祖先編や両親編など過去と現在を織り交ぜながら、すべての伏線を回収し、呪いにまつわる全てを解決するルートとなります。

コンセプトは「星の見つけ方」「絆のかたち」「バカップル」
呪いの本題は「穂織の呪いの真実」「叢雨丸の真実」

異類婚姻譚や聖剣神話、黄泉戸喫などの怪奇譚キーワードをベースに、祟り神と叢雨丸そして”彼女”の真実を解き明かし、全ての穂織の呪いへ決着をつける物語となります。
というか、ベースはトヨタマヒメですよね。穂織は火遠理なわけですよ。
ちゃんとしっかりした土台をベースに築き上げた物語であることがわかります。

本当にグランドエンディングにふさわしく、様々な疑問や謎が回収され、どうしようもなかった恨みと呪いの話が、救いと祈りの話へと昇華されていきます。
何度泣いたかわからん。
朝武がなぜこれまで続いてこれたのかといった呪いの本質でボロ泣きしたし、叢雨丸がなぜ祟り神を斬れたのかといったところにまで伏線を仕込まれていて、そこでもボロ泣きしました。
とはいえ、エンディングでみんなが流した涙の真意は全て別ルートで語られているという手法を取っており、全ルートの回収であると同時に、このレナルート単体でプレイした場合幾つか意味が通らない場所が出てきてしまう問題がおきています。
まぁ、なんとなくは察せるようになっているので別に大した問題ではないのですが。
真ルートとして迎えるならば、やはり他キャラをやってからということになるかと。


さて、どこから話してもネタバレになるので本筋はココらへんで割愛。


レナさんです。
圧倒的母性と圧倒的バストを持つ、屈指の包容力を持つキャラです。

  • みよ!この慈母の眼差し

レナの慈愛の瞳1
レナの慈愛の瞳2

声優さんも桐谷華さんと狙いすましたかのような采配。

この母性には有地さんも、完全にバカと化します。
臆面もなく愛を叫ぶバカップルへと昇華した二人は完全無敵。
救いようもないというか、すでに救われているので救う必要もないバカップル。
もう落ちるとこまで落ちようじゃないか!!
どこまで言っても抱きとめてくれるような、そんなキャラクター像がとっても素敵。
外国人キャラ?としてストレートな愛情表現を交わしまくる、ある意味新感覚イチャラブが楽しめる。
グランドルートという以外にも、レナ単体の魅力もちゃんと個別化して表現したゆずソフト。
ありがとう。
ただその言葉しか出てこない。






常陸茉子

常陸茉子
くのいち。耳年増。スパッツ。あはぁ。万能に見せかけたポンコツ二号。むっつりドスケベ。

他のルートでは誰より頼りになり(耳年増だけど)飄々としているキャラで、ようがす先輩の系譜かと思ったら。。。。
茉子の選択肢を選ぶとすでに共通ルートでまさかのポンコツ化
そういやこちもアホ毛持ちでしたね。
っていうか、朝武家全員ポンコツじゃねぇか。。。
それを考えるとやはり順番はレナ=>マコかマコ=>レナを最後にした方がいい感じ。あの共通ルートに追加されるポンコツエピソードの破壊力がやばかった。

普段はキリッとして頼れる忍者なのに、中身は可愛い女の子というのがいいですよね。
個別ルートに入って、茉子の部屋を訪ねた時のエピソードがすごく好き。
もう「普段は切詰めてますけど、中身は純情ポンコツ乙女」というあれが。
すごくよかった。
(_゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!ふともも!ふともも!
油断した姿が超最高でした。

あと、「あはぁ」ね。
茉子の口癖ですが、小鳥居夕花さんの素晴らしい演技の元、様々な「あはぁ」が聞けます。
ジト目&猫口(ω<=この口の形)とのコンボがすっごいスキ。
音声登録機能がありますので、気にいた「あはぁ」はちゃんと登録しておきましょう。お兄さんとの約束だよ。
前回はサブキャラ(仮屋和奏)担当だったので、昇格といっていいのかな?
私、波長の同じ人のアレもPちゃんしてますので結構嬉しい。


ルートコンセプトは「”人形だった私”の知ったはじめての恋」「ヒロインになれた女の子」「恋ってな~に。愛ってな~に」
呪いの本題は、「レナルートにて語られた彼女との最後の約束」「祟り神が人を知る話」
となります。
そのため、レナルートを先にやったほうがスムーズ(というか各所にレナルートのネタバレが配置されている)なストーリー展開にだと想われます。
終わり方がなぁ。。。
ちょいと不満。レナルートの致命的ネタバレを防ぐ目的っぽいのですがかなり無理矢理に終わらしてます。
レナルートの情報がないと助けられないのは分かるんですが、流石にこの終わり方は不完全燃焼。

ワンちゃんになった茉子を助けるところから、祟り神に恋を教えていく物語が展開します。
そこは猫キャラじゃないのか!いいのか自分を曲げても
お湯をかけて戻るところが、呪泉郷。

褒められると身代わりの術で闘争したり、他人の恋にはしたり顔するくせに、いざ当人になると顔真っ赤にして余裕なくしたり。
めっちゃかわいい
とある理由で寝不足になる芳乃のエピソードもすっごいスキ。
もう堂々と「マコのXX声がうるさいせいです!」って突っ込めよって思った。(そして恥じらう顔を見せてくれ)
二人をデートに行かせた後、真剣に祈る朝武芳乃さんの姿がすごく、なんていうか面白かったです。はい。

他ルートに比べストーリーの起伏は少ない代わりに、徹底的に恋するヒロインの可愛さを推し進めたルートといえます。
もう本当に。
甘えてくる彼女に何度悶絶したかわかりません。

  • のたうち回ったイチャラブシーン

茉子イチャラブ

総評

死や恨みつらみをベースとする呪いという重さ、シリアスさをきっちり表現しつつ相変わらずの圧倒的な「キャラの可愛さ」を押し出しイチャラブさせてくれるさすがのゆずソフト。
ココまでレベルの高いキャラ造形を、更に全員違う属性で作り出しているっていうのは素晴らしいと思う。
本当に全キャラ尊い。全キャラ愛おしい。

さらに今回はまとめるのが難しい「怪奇譚」というジャンルを真っ向から描ききった、ストーリーテラーの観点からもすごくよかった。
情報の出し方やキャラゲー特有の「ルート固定できない問題」に振り回されながらも、キレイに伏線を回収しきった手腕は次回作への期待を十分に持たせるものだったといえる。
キャラゲーメーカーとして不動の地位を築き上げているゆずソフトが、こうしてちゃんと次への挑戦をしてくれるというのは1ファンとしては本当に嬉しい限り。

歴戦の萌えキャラゲープレイヤー戦士たちもたぶん、4人どれかにビビッと来るキャラが居るだろう。
そういう意味でも、今回も十分おすすめと断言できる出来でした。
本当に、何回言ったかわからんけど。
みんなみんなかわいい

こぼれ話

前回と同様SteamLink+Steamコントローラーでのプレイ。

何の問題もありませんでした。

やり方は前回参照。


アップデートしたためか、ゆずソフト側がなんか調整したのか、前回あった「Steamオーバーレイ」がうまくいかない問題もおこならなかった。
あとの問題は「外部exeだとスクリーンショットがSteamLinkで撮れない」ということか。
ブログ書く時結構大変。
どうにかならんかな。

=>F12ボタンで普通にスクリーンショット取れました。


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