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雑記感想:名人戦が熱かった「りゅうおうのおしごと第五巻」と、許されない恋愛のジリジリ感が良かった「たとえとどかぬ糸だとしても第一巻」

気軽に記事を書くために、新しいカテゴリ作りました。
1記事には出来ない量の短文感想を載せていこうと思う読書タグ内の新タグ 感想雑記
このカテゴリでは、ほぼ読者目線に気を使わず「単なる読んだ本の短文感想」を書いていきます。
さらに、完全にネタバレを解禁しています。




白鳥士郎「りゅうおうのおしごと 第5巻」

tMnR先生 「たとえとどかぬ糸だとしても 第1巻」



注:各自致命的なネタバレ含みます。



白鳥士郎「りゅうおうのおしごと 第5巻」短文感想


=>以前にりゅうおうのおしごと自体の紹介記事書いてます。
www.citrussin.com

この記事は「りゅうおうのおしごと 第5巻」のを含みます
ようやく金が入ったので、5巻買いました。
もうすぐ6巻でちゃうよ。。。。。



いやぁ、この巻も熱かった。
とうとうはじまった「永世7冠」を目指す名人との竜王防衛戦。
4戦先取試合の一戦目で心をズタボロにおられた八一と、あいの葛藤、天衣の献身、銀子の想いに彩られながら、桂香の決心によってなんとか復活するキレイな竜王復活劇でした。
流石に「当初予定の最終巻」にふさわしい出来でした。
どうも売り上げ好調らしく、5巻終わりの予定だったのを取りやめ6巻からも継続して書いていくことになったようです。
良きかな良きかな

このりゅうおうのおしごと5巻での試合ギミックは「最後の審判問題」。
「禁じ手を使わないと双方勝てない状況になったときに、どちらを勝利とするか」という取り決めがなされていない将棋の欠陥をついて、八一が一大博打を行うというどんでん返しでした。
背水の陣の4戦目に「如何に八一が名人を乗り越えるか」ということに主題が割かれ、竜王防衛戦の結果自体は「その後」というのでまとめられています。
ここらへんは「ご都合主義」と捉えるか、「予定調和」と捉えるかは人次第ですね。
まぁいいんですよ。エンタメってのはピークにすべてを持ってくるのが基本ですから。


さて、全体のプロットは1,2,3戦目で完全にプライドを踏み潰され、ぼろぼろになった八一が、支えられてきた人々を思い出してからの、背水の陣の4回戦をピークに持ってくるというもの。
桂香が彼に送った「報われない努力はない」の一言は、ご都合主義ながら涙が止まりませんでした。

そして、来る4戦目。
ようやく立ち直った八一が試合途中でふと前を見るんですよ。
そこで、それまでは「誰も届かない神」「異形の存在」「対決者のプライドと心を完全に叩き折るマジシャン」として描かれていた、まさに”神”である名人の姿がはじめて描写されるんです。
今までは、「名人」の名前に圧倒されてまともに八一は前を見ることすらできなかった。
前の3戦目までは、対局者を視認できていなかったわけです。

で、「強大で天の上にいる存在」として描かれていた名人ですが、そこにいたのは激しく疲れ、震える手を押し殺しながら真剣に盤面をみる40過ぎたオッサンだと紹介されます。
負けるのが嫌で、将棋が好きで、愛妻家で、娘の成長を楽しみにしていて、毎日健康のため自転車で将棋会場を訪れるただのおっさん。

ただ、誰よりも将棋に強かっただけ。
名人として様々な名をつけられ、気軽に物も言えない(言った言葉は独り歩きして”名人の名言”として紹介されてしまう)、そんな天の上の存在。
でも、ただの人だったんですよ。

震える手で、かすれる呼吸で、奥歯を噛みしめながら息も絶え絶えに盤面に軌跡を起こしていくオッサン。
それをみた八一が
「ああ、このひとは俺達の憧れだ」
って思うんですよ。

で、名人もね今まで強すぎたせいで、気を使わなければならなかったわけです。
それが、はじめて同等の強さをもった存在に会えた。
それがとてもうれしくてうれしくて、だからこそ負けたくないというのが様々な行間から伝わってきました。

4巻で戦った会長が、「名人の話し相手に慣れたのが私じゃなかったのが、ちょっと嫉妬してしまいますね」って言ってしまうのがね、その「盤面遊び」に生涯を費やしてきた一言が重くて良かったです。

そして、名人が「負けました」と倒れ伏したあと、マスコミ(八一を侮ってた人たち)の無遠慮な質問に、息も絶えだえな瀕死の体を大きく揺さぶって激高するんですよ。
「彼(八一)は現在最も強い棋士の一人です。万全を尽くしたとしても勝てるかどうかわからない」
って、
その描写に、この4回戦で八一と名人双方が救われたっていうのが如実に見えて、熱いなぁと。
男の友情だなぁと。

勝因も面白かった。
名人が水差しさえ取らなければ、詰みまで読んだことで一息ついてしまわなければ名人の勝ちだったわけです。
29時間の連戦で疲労困憊のなか、その水差しを取ったことで八一に最後の時間を与えてしまった。
そのドラマ性が良かった。
人と人だから、失敗する。
でも名人は絶対に悪手を打たない。
だから負ける。
と散々引かれていた伏線が、ココで「悪手はうっていないが、水を飲んでしまった」というギミックによって、回収される。
見事なプロットでした。


そしてまるで、最終巻かのような(というか当初予定ではコレで完結)キレイな結末で終わった後の、
5角関係にまさかの鵠さん参戦か!という後日談。
6巻への伏線ですかね?先生。


tMnR先生 「たとえとどかぬ糸だとしても」第一巻 短文感想

たとえとどかぬ糸だとしても: 1 (百合姫コミックス)

たとえとどかぬ糸だとしても: 1 (百合姫コミックス)


ガールズラブ、ボーイズラブ系の物語は、繊細な関係性描写を伴う、禁忌の恋愛という一面が面白いと思う昨今。

ちなみに以前、おすすめGLものとして仲谷先生の「やがて君になる」をおすすめしました。
www.citrussin.com


で、GLものとしてなんとなく買ったtMnR先生 「たとえとどかぬ糸だとしても」を読みました。
感想として一記事書くにはまだまだ情報が足りないので雑記で。



画力高め、繊細描写で揺れ動く女子高生の心、完全に報われない片思い、百合展開が含まれそうな(・∀・)イイ!!友人関係。
必要な要件はきっちり満たした上で、送られる内容は

「子供の頃から好きだった近所のお姉ちゃんが、兄貴の妻になって、ふたりはラブラブです」

という救いようのなさ。。。。。

どう落とし所付けるんだコレ。

いつまでも初恋を切り離せない主人公 鳴瀬ウタちゃん
その愚痴を聞きつつ、滅多切る主人公の友人、やさぐれ系美少女のクロちゃん。
そして、恋多きビッチ系女子高生の恋夏ちゃん
恋夏の過去に色々ありそうな上、実は恋夏も「初恋は女の子&男には本気になれていない」ことも明かされてます。

憧れのお姉ちゃんである薫瑠は、ウタの兄貴とラブラブ新婚生活。
でも、一応ウタちゃんが居候しています。
そして、幼い頃からの妹分であるウタの複雑な感情を「悩みごとがある」と勘違いし「どうしたら励ませられるからな」と思案中。
そこら辺が切れないですよねー。

忘れようとしているのに、お姉ちゃんがいつまでも優しいのでズルズルウダウダやってるところがダウナー系百合コミックとして楽しめます。

彼女は心を押し殺す。そっと心に秘めた恋心が、目を覚まさないように――。
これは決して報われない恋を見守る物語

というのが謳い文句ですが、まぁその通り茨の道を歩き続ける少女と、その友達たちの話っぽい?



1巻最後の終わり方が意味深すぎて、先が読めない。
故に、感想記事が掛けません。
だって

私の初恋は
見逃したドラマの最終巻のように
あっけなく終わった

ですよ?

茨の道を眺めていくのかな?と思ってたら、初恋終わっちゃいましたね。
切り刻まれるような涙が痛々しい。


ということは、今後クロちゃんや恋夏ちゃん、あと意味深なお姉ちゃんの友達たちを中心に
「さらなる報われない物語」
が開始されるのでしょうか。

ダウナー系百合コミックが期待されてワクワク感が止まりません。


タブーの恋愛というのは、題材的に捏ね繰り回しがいがあるジャンルで、心ときめきますね。




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