citrussinのチラシの裏

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ファンタジーダンジョンの仕組みと生態系を考察する系料理コメディ 九井諒子の「ダンジョン飯」は考察と意外な発想力があって楽しめる良作コミック

この間買った最新刊を読み終えたのでそろそろこいつもおすすめしておこう。
ファンタジーやRPGのお約束について、様々な考察や生態系の謎に迫るダンジョン食事コメディ
九井諒子「ダンジョン飯」

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))

このマンガがすごいなどなどで紹介されているので、知っている人も多いかと思う。
魔物やトラップがうようよいるダンジョンにも、生物が生息するということは当然独自の生態系が作られているという”あたりまえ”を元に考察していくコメディとなっている。
火矢の罠があるならば、当然火を起こすためにその罠には油袋がある
=>天ぷらが作れる!!
マンドレイクの死の断末魔は引き抜き時に首を落とせば問題ないが、古来より聞かないようにそのまま抜く方法が一般的
=>首を落とせば鮮度か落ちるからだった!!
みたいな。

”なるほど”と納得してしまうあれこれをダンジョン内食事という観点から解説していくストーリーは、ファンタジー作品に馴染みがアレばあるほどコペルニクス的転回が起こること請け合い。
というかそもそも、ダンジョンに潜るということは食事の問題がつきまとう。
RPGの主人公はいかにして食事問題を解決しているのか。(まぁテイルズとかだと普通に料理作るけど。シレンやトルネコみたいなローグライクだと満腹度指数があるけど)
ダンジョンサバイバル術を読み解く物語としても秀逸な一作。


あらすじ

食料は迷宮内で自給自足する。
迷宮内には魔物が溢れている。つまり生態系が存在している。
すなわち、人間も迷宮でくっっていけるということだ!!

”魔物オタク”ライオスの言より

ある日、とある墓地の壁巨大ダンジョンへと続く空洞が現れた。空洞から出てきたのは一千年昔に滅亡したはずの黄金王国の王。その王国をまるごと地下に囚えダンジョンを生成した狂乱の魔術師。
彼を討伐したものに黄金王国のすべてを与えると言い残し、王は事切れた。
その言葉に魅かれ、この突如現れた魔物ひしめくダンジョンを踏破しようと、多くの冒険者が乗り込む時代が幕を開けた。
主人公であるライオス一行は、ダンジョン深層にてレッドドラゴンと遭遇。ライオスの妹をドラゴンに食われたまま彼らは脱出魔法を使わざるを得なかった。
急いで戻り、早く助けなければ消化されて蘇生術が効かなくなってしまう。所持金やアイテムも全て失い、途方に暮れるリーダーのライオス、残留した魔法使いのマルシル、鍵師のチルチャックの3人。
そこで、ライオスは提案する。
「幸い装備品はある。食料はダンジョンで調達しよう!
ダンジョンで生活するサバイバリストドワーフ”センシ”を仲間に加え、モンスター食い倒れ珍道中決死のダンジョン踏破が開始された。



ゴーレムは良い畑になる。野菜の根が土を強くし、ゴーレムは自分の体を乾かさぬように湿気を保つ。共存共生だ
なるほど!
素晴らしい。目からウロコだった。魔法人形でさえ生活基盤にするとは。
元王国のダンジョンは様々な仕掛けと植物、魔物が共存して一種のビオトープとなっている。
3巻で明らかになるが、ダンジョンづくりは非常に頭をつかう生物学なのだ。
ちゃんと共生しあい、食物連鎖を起こすように設計されている。
何れ討伐に来るであろう冒険者さえも食物連鎖の輪に組み込んでいるのだから、”狂乱の魔術師”とはよほどの天才だったのだろう。
そういったアレヤコレヤのファンタジーテンプレを”どうしてそうなるの”という観点から紐解いていく食事マンガである。
津々浦々いろんなグルメコミックが発表されているが、中々面白い切り口。
そもそもダンジョンやファンタジーのお約束を生物学や物理学観点から洗い直すという作品は同人界、特に二次小説/コミックのほうでよく扱われるジャンル。
それをしっかりとした世界観を持って、長期連載に持ち込んだ意欲作である。

変化に富んだダンジョンが素敵

かつての黄金王国ごと飲み込んだダンジョンは独自のビオトープを生成し、ただの石畳だけに終わらない。
1階は当然入口が開いた共同墓地であるが、ダンジョンを下るごとに景色は様変わりしていく。
そして、当然そこで食える名産品(モンスター)も変わる。
共同墓地を最後まで降りると、かつての黄金城の尖塔部分にたどり着く。
尖塔の森と呼ばれるそこは木々が生い茂り、冒険者が行き来できるように巨大樹の間に橋が掛けられている。
モンスターは森林系がおおく、果実が取れるのが美容にいい。
巨大樹をくぐりぬけていけば、黄金城内部に入り込める。
生息するのは怨念を抱くアンデットや、おなじみミミックといった擬態系。
侵入者を阻む各種罠やガーディアンのゴーレムも登場する。
罠の仕組みを使った料理や、アンデットをいかに食物に変えるのかが料理人の腕の見せ所だ。擬態系を食べ物にする発想には舌を巻いた。
黄金城内部を進んでいくと、岩盤から流れ出た地下水がフロアにたまり、そこは地底湖となっているわけだ。
水棲系のモンスターやエレメントが登場し、水との付き合い方を考えさせられるマップとなっている。



と言った具合に設定が寝られているおかげで様々なおなじみモンスターやダンジョンシーンを違和感なく持ってきている。
モンスターの生態系や各キャラクターについても段階を追ってさり気なくエピソードが入るため、バックにある複雑な設定に気を配らずに楽しめるのがとてもいい。


料理ものとしての意外性はもしかしたら人を選ぶかも

料理ものマンガは、如何に美味しそうに見せるかだけでなくその調理法や発想に意外性を求められることが多い。
その点もダンジョンでモンスターをというところからもわかるように非常に楽しめる。
種々のモンスターやイベントにはちゃんと注釈を始めとする説明がつけられているし、キャラクターがコミカルに動いてくれるので知識がなくても問題はない。
が、十分に楽しみたいなら、RPGだのファンタジーノベルだのでモンスターやお約束について親しんでいないといけないのかなと。
あの、”おおっこのモンスターがこうなるとは!”とか”こんな発想があるのか!”ってのはやっぱり事前知識が必要。


キャラもいい

毎度毎度言ってる気がするが、やはり名作には魅力的なキャラクターが必要だ。
その点”モンスターマニア”のライオス、”毎回モンスターを食べるのに忌避を感じてくれる紅一点”マルシル、”常識枠&罠担当”チルチャック、”解説、サバイバル”センシ
とパーティー構成もいい。
ライオスの変態具合がかなり光るが、マルシルの可愛さも推しておきたい。
毎回定番の「それ、、食べるの? ヤダーーーーーー」はニヤニヤしながら読んでます。
リアクションが料理ものマンガの命。
キャラクターが一喜一憂するからこそシュールコメディ良作としておすすめしたい作品になっている。


それにしてもこんなグルメ珍道中してていいのだろうか。
もう一週間以上立っているが。
と思っていたら3巻終わりでどうやらドラゴンの付近までこれたようだ。
これ、妹助けたら今後どうするんだろう。(ていうか妹を助ける目的だったの半分忘れていたが)
ぜひ妹も巻き込んで深層、狂乱の魔術師前までモンスターを食べながら踏破していただきたい。
「お前の作ったモンスター。。。。美味かったぜ(o'∀')b☆ 」みたいな

一風変わった料理系コメディ 「ダンジョン飯」
3巻なのでサラッと読めます。食前食後のひとときにいかがでしょうか。

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))

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